物語編
第五章 第十八話 物語編
第五章 言 と 霊
第十八話 神に導く因果 と 神に導く条件
このバベルの塔の仕掛け、契約の更改の仕組を、
誰よりも重く見ていたのは、我が娘の真理だった。
彼女は、私と弟子達の様子の、一部始終を見ていた。
[なるほど、これは、厄介なこと、この上ない。
神を信じた者ほど、神に裏切られて、悩むなんて。
これでは、神を恨み、魔に堕ちるのも、無理もない。]
[そうかと言って、自らの善に頼ろうとしても、
遅かれ早かれ、我か神か、何れを選ぶか試される。
神に頼らず、善を積むほど、神に背きやすい仕掛け。]
[富める者ほど、神の国に入るのは、難しくて、
貧しい者ほど、幸いであるって、本当だったのね。
慰めなのかなと、思っていたけど、言葉通りだった。]
[人々に、悔い改めを迫れば、どうなることか。
良くて怨まれてしまい、悪ければ殺されてしまう。
悲しいけれど、それこそ、貴方の天命なんですよね。]
[行くなとは言えません、迷わず行って下さい。
たとえ、貴方が捕まっても、私が助けに行くから。
安心して、与えられた使命を、果たし切って下さい。]
[万一、志半ばで、命が尽きる事があろうとも、
その時は、私が、貴方に代って証を立てましょう。
真理の御霊として、あらゆる真理へと導き入れます。]