物語編
第五章 第二一話 物語編
第五章 加護 と 憑依
第二一話 霊に守られる と 霊に囚われる
二十日後、彼が戻らないことを、見極わめると、
真理は、使命が巡って来たことを、静かに悟った。
それから、誰に尋ねることなく、大聖堂へと赴いた。
真理は、誰が教皇なのか、知らされてなかった。
ところが、中に入ると、他に惑わされることなく、
真っ直ぐに、彼に近づき、目の前まで進んで行った。
美しい乙女が、教皇の元に、独り近づいて行く。
その様子を、周囲の者は、好奇の目で見ていたが、
正面に捉えた、教皇だけは、純粋に惹き寄せられた。
[我こそは、真理の御霊にして、証を立てる者。
そして彼方は、因縁の御魂にして、証を広める者。
どうか人払いを、早過ぎる時に、民は耐えられない。]
[今生の彼方は、忘れているかもしれませんが、
求める者は与えられる、彼方は使命を求めました。
二千年後、人類が知る証を、今、彼方には報せます。]
[使徒よ、なぜ、神の使いを、危めるのですか。
彼方が、魔の遣いと見る者こそ、神の使いである。
魔を捌き、神を裁いていると、汝は解かりませんか。]