物語編
第五章 第二二話 物語編
第五章 冒涜 と 崇拝
第二二話 心から滅ぼす と 必らず蘇える
濁さない、真理の言葉に、他の司祭は怯んだが、
教皇だけは、笑みを浮べて、彼女を見据えていた。
どころか、品定めするが如く、優しく娘に切り返す。
〈面白い、人混みの中に、紛れ込んだ積りだが、
私が型だと、良く解ったな、しかし、未だ足りぬ。
乙女よ、汝が、神の使いなら、その証を見せてみよ。〉
[不義なる時代ほど、人は証を求めようとする。
それでは、証を認める、我を信じているに過ぎず、
神を選んだ、我を信じるだけと、未だ解りませんか。]
[信じる、信じないの、水掛け論は要りません。
自らは、神の言を以って、契約の更改を報せる者。
汝を、選民の王とするため、この聖堂を訪れている。]
[二千年の後、真理の聖堂が、現世に蘇るとき、
真理の霊として、証を立てるは、我が来世であり、
因縁の御魂として、証を広めるは、汝の子孫である。]
[地上に、天上の世界が現れる、という福音を、
今の彼方は、今の時の人より、二千年早く聴いて、
貴方の子孫は、其の代の民より、数年早く聞きます。]
[彼方が享けるのは、前世の貴方が求めたから。
子孫に届けられるのは、先祖の彼方が求めたから。
如何に、貴方が望んでいたか、彼方は忘れましたか。]