物語編
第五章 第二四話 物語編
第五章 偶像 と 神像
第二四話 我が象られる と 神が模られる
最も感情を離れながら、最も実感が籠っている、
静かに澄んだ真理の声が、聖堂の中に響き渡った。
それは、人類の行く末を案じる、悲痛の叫びだった。
[汝らは、性を介さないと、理を解せないのか。
男を纏わぬ、女の体には、目を曇もらされるのか。
恥を知れ、斯くの如き様で、選ばれし民と宣うのか。]
[たった今、人類の型たる、汝らの所業により、
人類の歴史に、魚座の時代が、現れる事になった。
二千年の間、汝らは、生に煩い、性に患う時を刻む。]
[美の神は、甘美な夢を、汝らに魅せ付けよう。
将に先の如く、汝らは、自らの善に耽けるだろう。
目覚める時には、辛酸を舐めるとは、露も知らずに。]
[性の神の、快楽の酒で、汝らは酔い痴れよう。
当に今の如く、汝らは、自らの戒に溺れるだろう。
宿酔いに為れば、苦汁を嘗めるとは、露も知らずに。]
[女を甘く見れば、自らが女として生きている。
一見、男の時代に見えるが、真の男が隠れる時代。
汝らは、魚座の転生を通して、汝が性を学ぶが良い。]