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物語編

第五章 第二十話 対話編

CASE 無相 の裏に 有相

 

マナミ 御姿が有る、有相って、どういうものなの?
マサシ 有相とは、姿を見とめる、外なる神の姿だよ。
マナミ 有相を望む、悪い点は、どういうところなの?
マサシ 有相神は、外在に頼って、依存心に誘うのさ。
マナミ 有相に臨む、良い点は、どういうところなの?
マサシ 有相神は、実在に傾いて、信仰心に導くのさ。
マナミ 御姿が無い、無相って、どういうものなの?
マサシ 無相とは、姿を持たない、内なる神の姿だよ。
マナミ 無相を望む、悪い点は、どういうところなの?
マサシ 無相神は、実在を疑って、無信心に誘うのさ。
マナミ 無相に臨む、良い点は、どういうところなの?
マサシ 無相神は、内在を信じて、真仰心に導くのさ。
マナミ 有相の段は、外に表われて、広く集めるけど、
    無相の階では、内に現われて、鍛え上げるの

マサシ 未熟な民は、依存を許して、浅い信に誘い、
    成熟した民は、依存を赦さず、深い信に導く。
マナミ 不信心者は、形から入らせ、信を研かせて、
    信心者は、型まで認めさせて、真に磨かせる。
マサシ どちらでも、選んで良いよ、僕は前者だから。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 無相 の先に 有相

 

サトミ 見えない神、無相って、どういうものかな?
メグミ 無相とは、他を認めない、一元の神のことよ。
サトミ 見とめる神、有相って、どういうものかな?
メグミ 有相とは、他を見とめる、二元の神のことよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
メグミ そもそも、一元の神様は、姿が存在しないの。
    つまり、見る人が変われば、見える姿が違う。
サトミ じゃ、見たいようにしか、見ようとしないの?
メグミ そうよ、神は鏡だから、自分の姿が見えるの。
サトミ なるほど、色々な人々が、色々な神様を見て、
    自分の神が、一番であると、思っているのね。
メグミ そうなの、それは何より、言い換えるなら、
    自分の我が、一番であると、想っているのよ。
サトミ こうして、思いのままに、神を信じていても、
    どうしても、在りのままに、至る訳がないよ。
メグミ 自ずから、我に裏切られ、神に裏切られるの。
サトミ この時、鏡と認められたら、良いんだけど、
    別の神に、乗り換えてしまい、繰り返すのね。
メグミ うふっ、我が神に止まらず、他も鏡なのにね。
サトミ ……………………

 


 

CASE 有相なき無相 と 無相なき有相

 

サトミ 無形と有形、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 形が無い神、無形って、どういうものかな?
メグミ 無形とは、内に表われて、外に現れない神よ。
サトミ 形が有る神、有形って、どういうものかな?
メグミ 有形とは、外に現われて、内に表れない神よ。
サトミ 無形を望み、有形に臨まないと、どうなるの?
メグミ 有形なき無形なんて、無信心に陥るだけだよ。
サトミ じゃ、神が見えないと、信が試されるのかな?
メグミ そうよ、信を験されると、凡そ信じなくなる。
サトミ 有形を望み、無形に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無形なき有形なんて、偽信心に陥るだけだよ。
サトミ じゃ、神が現われると、信が興されるのかな?
メグミ でもね、神が隠されると、疑が起されるのよ。
サトミ 無形だけでは、鍛えようと、逃してしまい、
    有形ばかりでは、助けようと、甘えてしまう。
メグミ うん、無形と有形、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無形を透して、有形を徹していくの?
メグミ うん、無形を究めて、有形を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 御父 と 御子 と 御霊

 

サトシ 御父である、父なる神とは、どういうもの?
マサシ 父なる神とは、創造主である、ヤハウェだよ。
サトシ 父なる神は、慈愛を司っている、位格なの?
マサシ そうさ、慈愛だから、見えないし、解らない。
サトシ 御子である、子なる神とは、どういうもの?
マサシ 子なる神とは、ロゴスである、キリストだよ。
サトシ 子なる神は、論理を司っている、位格なの?
マサシ そうさ、論理だから、観じられて、解せるよ。
サトシ 御霊である、霊なる神とは、どういうもの?
マサシ 霊なる神とは、パトスである、ルーアハだよ。
サトシ 霊なる神は、実感を司っている、位格なの?
マサシ そうさ、実感だから、感じられて、介せるよ。
サトシ 地の人を、父なる神が、一元に導くために、
    子なる神や、霊なる神を、二元に贈るのかな?
マサシ 愛を送っても、観じないし、感じないから、
    愛する子を、地に遣わせ、見えるようにした。
サトシ 少しずつ、因果を踏み固め、一元に還る道を、
    父なる神は、人類の為に、授けてくれたのか。
マサシ でも、人類は、縋るだけで、昇ろうとしない。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 父 な る 神

 

サトシ あのね、父なる神って、どういうものかな?
マサシ 御父とは、ヤハウェとも、呼ばれるものだよ。
    その実体は、創造神であり、一元そのものさ。
サトシ 二元を越える、一元って、どういうものなの?
マサシ どうしても、言葉では、表現できないものさ。
サトシ それじゃ、良く解らない、どういうことかな?
マサシ じゃあ、神様と聞いて、君は何を思い浮べる?
サトシ 神様はね、とても優しい、愛そのものだよ。
    誰にも、分け隔てなく、愛を注いでいるんだ。
マサシ じゃ、優しい君には、優しい神が表れるけど、
    反対に、厳しい君には、厳しい神が現れるよ。
サトシ 神様はね、いつも正しい、義そのものだよ。
    どんな、罪も逃がさず、法で裁いているんだ。
マサシ じゃ、正しい君には、正しい神が表れるけど、
    反対に、邪まな君には、邪まな神が現れるよ。
サトシ すなわち、神は鏡だから、見る人によって、
    父なる神の、切り取り方が、変わって来るの?
マサシ 二元の人類が、一元の神様を、裁いてしまう。
サトシ 訳が解らないよ、結局の処、神様は居ないよ。
マサシ ……………………

 


 

CASE 子 な る 神

 

サトシ あのね、子なる神って、どういうものかな?
マサシ 御子とは、キリストとも、呼ばれるものだよ。
    その実体は、ロゴスであり、真理そのものさ。
サトシ 因果を招じる、真理って、どういうものなの?
マサシ 因果を解し、神に還らせる、道の如きものさ。
サトシ 例えば、他に優しいと、優しい神が表れて、
    その人が、他に厳しいと、厳しい神が現れる。
マサシ そうさ、優しい時には、神を求めていても、
    裏の姿の、厳しい時には、神を避けてしまう。
サトシ う~ん、このままでは、永遠に還れないから、
    父なる神が、子なる神を、地に遣わせるのか。
マサシ 何よりも、神が鏡であると、解きたいけど、
    同時に、裏の姿が映らないし、説きにくいよ。
サトシ それゆえ、善には善が返り、悪には悪が返る。
    取り敢えず、善と悪を別けて、教えるわけか。
マサシ 善も悪も、我が内に在ると、解けないから、
    どちらかを、他に映して、自業自得を教える。
サトシ なるほど、自らの裏の姿を、他に写して見る。
マサシ このように、神に代って、人が演じるわけさ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 霊 な る 神

 

サトシ あのね、霊なる神って、どういうものかな?
マサシ 御霊とは、ルーアハとも、呼ばれるものだよ。
    その実体は、パトスであり、実感そのものさ。
サトシ 因果に生じる、実感って、どういうものなの?
マサシ 因果を介し、神に還らせる、標の如きものさ。
サトシ 例えば、善なる人には、善なる神が表れて、
    その一方、悪なる人には、悪なる魔が現れる。
マサシ 取り敢えず、こうして、善と悪に分けるのさ。
サトシ このまま、分け続けると、どうなるのかな?
マサシ 神様は、善の側に居るけど、悪の側に居ない。
    そういう、邪見を抱いて、神から遠ざかるよ。
サトシ う~ん、このままでは、永遠に還れないから、
    父なる神が、霊なる神を、理に宿らせるのか。
マサシ 理を辿り、善なる人が、悪なる人を憎むほど、
    自分自身が、悪と化して、何故か苦しくなる。
サトシ 外に縋り、自らの善を、信じようとしても、
    内から覆り、自らの善を、疑うようになるの?
マサシ だけどね、自ら辿らないと、誰も認めないよ。
    このように、霊を介して、道を確めるわけさ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 三 位 一 体

 

サトシ あのね、三位一体って、どういうものかな?
マサシ 父が山頂、子が山道、霊が山景に喩えられる。
サトシ 父なる神が、欠けていると、どうなるのかな?
マサシ どれだけ、登れば良いか、分からなくなるよ。
    目標が、解らないから、永遠に巡ってしまう。
サトシ 子なる神が、欠けていると、どうなるのかな?
マサシ どうして、登り詰めるか、分からなくなるよ。
    手段が、解らないから、徒労に帰してしまう。
サトシ 霊なる神が、欠けていると、どうなるのかな?
マサシ どこまで、登り着いたか、分からなくなるよ。
    到達が、解らないから、途中で諦めてしまう。
サトシ じゃ、山の頂上を信じて、山の細道を登り、
    着実に、山の景色で確めて、山を登るんだね。
マサシ うん、どれが欠けようと、登れなくなるのさ。
サトシ 突然に、山の頂に着いたら、どうなるのかな?
マサシ 当然、そこが山頂だとは、認められないのさ。
サトシ つまり、階段も昇らず、風景も見なければ、
    頂である、理解も生じず、実感も招じないの?
マサシ それは、自分で確めないと、永遠に解らない。
サトシ ……………………!!

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