第五章 第二四話 対話編
CASE 偶像 の裏に 神像
マナミ 神の仮の姿、偶像って、どういうものなの?
マサシ 偶像とは、外なるものに、神を認めることさ。
マナミ 偶像に臨む、良い点は、どういうところなの?
マサシ 偶像には、公開性が有り、他に魅せやすいよ。
マナミ 偶像を望む、悪い点は、どういうところなの?
マサシ 偶像には、秘匿性が無く、他に壊されやすい。
マナミ 神の真の姿、神像って、どういうものなの?
マサシ 神像とは、内なるものに、神を認めることさ。
マナミ 神像に臨む、良い点は、どういうところなの?
マサシ 神像には、秘匿性が有り、他に壊されないよ。
マナミ 神像を望む、悪い点は、どういうところなの?
マサシ 神像には、公開性が無く、他に魅せられない。
マナミ 偶像の段は、外側に飾って、広く明かして、
神像の階では、内側に秘めて、磨き上げるの?
マサシ 未熟な民は、陶酔を許して、神を信じさせ、
成熟した民は、陶酔を赦さず、神を確かめる。
マナミ 優しい代り、冒涜を受けて、限界を感じる。
厳しい代わり、冒涜を受けず、真理を観じる。
マサシ どちらでも、選んで良いよ、僕は後者だから。
マナミ ……………………!!
CASE 偶像 の先に 神像
サトミ 神の偽の形、偶像って、どういうものかな?
メグミ 偶像とは、我が心の外に、神を模ることだよ。
サトミ どうすると、我が外に、神を捕えているの?
メグミ 我は神でなく、心の外に、神が居ると考える。
サトミ 自らの外に、神を見るとき、偶像になるの?
メグミ 外に見えても、己と捉えれば、真の像なのよ。
サトミ 世の中に、現れた神に、甘えなければ良いの?
メグミ そうよ、頼ったりせずに、在り難く認めるの。
サトミ 神の真の型、神像って、どういうものかな?
メグミ 神像とは、我が心の中に、神を象ることだよ。
サトミ どうすると、我が中に、神を捉えているの?
メグミ 我は神であり、心の中に、神が居ると考える。
サトミ 自らの内に、神を見るとき、神像になるの?
メグミ 内に見えても、他と捕えれば、偽の像なのよ。
サトミ 夢の中に、現れた神を、誇らなければ良いの?
メグミ そうよ、驕ったりせずに、有り難く認めるの。
サトミ じゃ、世に表れようと、夢に現われようと、
謙虚に、感謝を奉げれば、偶像に為らないの?
メグミ そうだよ、総ての者が、我であり神であるの。
サトミ ……………………!!
CASE 偶像 という 神像
サトシ 神を像する、偶像って、どういうものかな?
マサシ 偶像とは、或る物をして、神を像することさ。
サトシ 何かの物に、神を見とめて、崇めているの?
マサシ そうだよ、何かを拝して、他を排しているよ。
サトシ 神を崇めて、他を排すると、どうなるのかな?
マサシ 遅かれ早かれ、魔が現れ、像を壊していくよ。
サトシ 神を蔵する、神像って、どういうものかな?
マサシ 神像とは、在る物をして、神を蔵することさ。
サトシ 総ての者に、神を見とめて、崇めているの?
マサシ そうだよ、全てを拝して、何も排してないよ。
サトシ 神を崇めて、他を拝すると、どうなるのかな?
マサシ 早かれ遅かれ、魔が消え、神を宿していくよ。
サトシ そうすると、神を象るから、破られるのかな?
マサシ そうだよ、神を蔵するならば、壊されないよ。
サトシ 初めは、偶像を作りながら、信仰していても、
後で、偶像を壊されたら、卒業すべきなのか。
マサシ そうさ、真仰に進めという、神の合図なのさ。
サトシ 神の像が、好きな僕には、衝撃的な話だよ。
マサシ それは、真像に臨めという、神の示唆なのさ。
サトシ ……………………!!
CASE 偶 像 崇 拝
サトシ ほら、ぼくらの像こそ、本物の神様なんだ。
サトミ なによ、あたしの像こそ、本物の神様なのよ。
サトシ 僕の神を、冒涜するなんて、信じられないよ。
サトミ 偽者の神を、崇拝するなんて、信じられない。
メグミ 二人とも、少し落ち着いて、省みて下さい。
外側に、神を作ったから、衝突するんですよ。
サトシ 善なる姿、外の神を望むと、どうなるのかな?
メグミ 最善を望む、競い合いに、巻き込まれるのよ。
サトシ 徳なる姿、内の神に臨むと、どうなるのかな?
メグミ 神聖に臨む、譲り合いに、導き誘われるのよ。
サトシ じゃ、外に神を望むと、二元に巻き込まれて、
疲れ果てるまで、争い続ける、ことになるの?
メグミ そうよ、善を譲るまで、この仕掛は解けない。
サトシ それなら、自分の方から、譲ることにするよ。
サトミ あんたから、自分の負けを、見とめるわけね。
サトシ そうだよ、君の神が正しいと、気づいたんだ。
サトミ でしょ、あたしの神様って、何より正しいの。
初めから、認めていれば、争わず済んだのに。
メグミ うふっ、それ位にしようか、もう充分でしょ。
サトシ ……………………!!
CASE 偶 像 破 壊
サトミ 何だろうと、偶像の崇拝は、絶対に禁止よ。
あたしが、偶像を見つけたら、全て壊すから。
マナミ 偶像崇拝が、罪になるのは、どうしてなの?
サトミ 神様から、罪になるって、言われたからよ。
マナミ それを、あなたは神様から、直々に聴いたの?
サトミ 違うわよ、預言者を介し、人伝で聞いたのよ。
マナミ じゃあ、偶像崇拝って、どういうものなの?
サトミ 直接的に、神に向かわず、他を介することよ。
外を解して、分かりやすく、神を象ったもの。
マナミ とすると、その預言者も、偶像に為らないの?
彼方も、預言者を介し、神様に向かっている。
サトミ 直接的に、解らない人は、仕方が無いでしょ。
見える人に、見えない人は、聞くしかないわ。
マナミ とすると、偶像を介して、神像を解すべきで、
徐々に、神像を解して、偶像を壊すべきなの。
サトミ 最終的に、偶像を壊せば、問題が無いわけね。
マナミ だから、自然に壊れるのを、待てば良いの。
サトミ 実際、外から壊そうとも、毀し切れないしね。
マナミ これ位、自ずと毀れないと、壊し切れないの。
サトミ ……………………!!
CASE 神像なき偶像 と 偶像なき神像
サトミ 偶像と神像、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 神を象った、偶像って、どういうものかな?
メグミ 偶像とは、特定のものに、神を認めることよ。
サトミ 神を悟った、神像って、どういうものかな?
メグミ 神像とは、一切のものに、神を認めることよ。
サトミ 偶像を望み、神像に臨まないと、どうなるの?
メグミ 神像なき偶像なんて、唯の虚像に過ぎないよ。
サトミ じゃ、何かの物の中に、神の姿を見とめるの?
メグミ そうよ、自我に裁かれて、いずれ破られるよ。
サトミ 神像を望み、偶像に臨まないと、どうなるの?
メグミ 偶像なき神像なんて、只の巨像に過ぎないよ。
サトミ じゃ、全ての物の中に、神の姿を見とめるの?
メグミ そうよ、自我に収まらず、すぐに壊されるよ。
サトミ 偶像だけでは、或るものに、神を閉じ込め、
神像ばかりでは、在るものに、神が溢れ返る?
メグミ うん、偶像と神像、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、神像を介し、偶像を解していくの?
メグミ そうなの、偶像を超え、神像を越えていくの。
サトミ ……………………!!