第五章 第二五話 対話編
CASE 原罪 の裏に 現在
マナミ 昔に在る罪、原罪って、どういうものなの?
マサシ 原罪は、知恵の実を食べ、罪を重ねるものさ。
マナミ どうして、善悪が生じると、罪が重なるの?
マサシ 善は好きで、悪は嫌いと、囚われるからだよ。
マナミ 囚われるから、我が生じて、業が重なるの?
マサシ もはや、前には戻れない、時が重なるんだよ。
マナミ 今に在る時、現在って、どういうものなの?
マサシ 現在は、知恵の実を食べ、時が流れることさ。
マナミ どうして、善悪が生じると、時が流れるの?
マサシ 欲が生じて、良くにしか、進まないからだよ。
マナミ 偏っていると、業が重なり、時が流れるの?
マサシ もはや、先には進めない、時が訪れるんだよ。
マナミ 思いのまま、欲を突き詰め、時が流れるけど、
最終的に、受け容れられない、現在に至るの?
マサシ そうさ、その現在のことを、終末と呼ぶのさ。
マナミ 究極的に、辿り着く終末には、何が起こるの?
マサシ 今まで、捨てて来たものを、拾わされるのさ。
マナミ 悪として、嫌ったものを、許せば良いのかな?
マサシ すると、原罪から現在、全ての罪が許される。
マナミ ……………………!!
CASE 原罪 の先に 現在
サトミ 昔に表れる、原罪って、どういうものかな?
メグミ 原罪とは、原因を望んで、時間を遡ることよ。
サトミ 現在を、認められないから、原因を探すの?
メグミ うん、今に臨めないから、昔に望んでいるよ。
サトミ 今に現れる、現在って、どういうものかな?
メグミ 現在とは、結果に臨んで、実感に至ることよ。
サトミ 結果を、見とめられるから、実感が湧くの?
メグミ うん、昔に望まないから、今に臨んでいるよ。
サトミ つまり、現在を見れば、原罪は必要ないけど、
逆に、現在を見ないから、原罪が必要になる?
メグミ そうよ、過去に犯した、罪の所為によって、
現在まで、苦しくなった、そう考えてしまう。
サトミ 自分の、現在の状況が、上手く行かない訳を、
取返しが、付かない罪に、求めてしまうわけ?
メグミ そうなのよ、そんなことを、行っている限り、
ちっとも、現在は変らず、原罪を恨むだけよ。
サトミ 苦しい訳を、探していても、ダメってことか。
それより、現在に集中しよう、という訳だね。
メグミ このように、現実に集中しよう、という訳ね。
サトミ ……………………!!
CASE 最 後 の 審 判
サトミ う~ん、最後の審判って、どういうものかな?
マナミ 審判とは、終末の日に、積み重ねたことが、
次々に、明らかになって、罪が裁かれること。
サトミ やだやだ、そういう宗教は、あたしは嫌いよ。
常識が無い、危ない宗教ほど、終末を説くわ。
マナミ どうして、終末を説いたら、非常識になるの?
サトミ だって、拷問を用意して、信仰を強制するわ。
信じれば、天国行きで、信じないと地獄逝き。
マナミ 拷問を、用意するのって、自分自身なのよ。
神は、誰も裁かないし、自分で自分を捌くの。
サトミ う~ん、訳が解からない、はっきり言ってよ。
マナミ 人は、自らが重ねたもので、自らが裁かれる。
つまり、他を裁いたよう、我を捌いてしまう。
サトミ それなら、何を見ても、非常識に見えるのは、
他でもない、自分が、非常識と言いたいわけ?
マナミ わたしは、そんなこと、一言も言ってないの。
そのように、見えるのは、あなたが見てるの。
サトミ なんなの、さっきから、それしか言ってない。
すべて、言わないなんて、非常識じゃないの!
マナミ ……………………
CASE 現在なき原罪 と 原罪なき現在
サトミ 原罪と現在、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 昔に対かう、原罪って、どういうものかな?
メグミ 原罪とは、原因を望んで、結果を否むことよ。
サトミ 今に向かう、現在って、どういうものかな?
メグミ 現在とは、原因を望まず、結果を肯うことよ。
サトミ 原罪を望み、現在に臨まないと、どうなるの?
メグミ 現在なき原罪なんて、唯の過去に過ぎないよ。
サトミ じゃ、結果に臨まずに、原因を望んでいるの?
メグミ そうよ、過去に捕われて、因果が解けないよ。
サトミ 現在を望み、原罪に臨まないと、どうなるの?
メグミ 原罪なき現在なんて、只の未来に過ぎないよ。
サトミ じゃ、原因に臨まずに、結果を望んでいるの?
メグミ そうよ、未来に囚われて、因果が説けないよ。
サトミ 原罪だけでは、今を顧みず、知が研けないし、
現在ばかりでは、昔を省みず、知が磨けない?
メグミ うん、原罪と現在、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、現在を介し、原罪を解していくの?
メグミ そうなの、原罪を負い、現在を追っていくの。
サトミ ……………………!!