物語編
第五章 第二八話 物語編
第五章 旧約 と 新約
第二八話 金牛から白羊 と 白羊から双魚
もはや、何が過去で、何が未来か解りませんね。
そう、真理は微笑むと、彼らを優しく見て回った。
そして、深い意識に向け、言葉を選んで語り掛けた。
[皆さんに、今に説けるのは、これぐらいです。
これ以上、説いても、縁を拗らせるだけでしょう。
二千年後に、皆さんは、契約の更改を知るはずです。]
[バベルの崩壊の仕掛け、契約の更改の仕組を、
今から、わたしは、現世の教皇に授けて置くので、
二千年後、皆さんは、来世の彼から受けて下さいね。]
そう言うと、真理は、教皇の方に歩いて行った。
そして、耳元に近づき、彼にしか聞こえない声で、
此処だけ、既に魚座に入りましたと、妖艶に囁いた。
[わたしは、あなたと、二人きりになりたいの。
あなたの力で、人払いをして、下さらないかしら。
他の方には、秘密の奥義は、未だ必要がないみたい。]
[さてと、あなた方は、出て行って下さらない?
今から、何を交わすのか、野暮な方にも解る筈よ。
それこそ、神の新しい契約、初心な者には未だ早い。]