第五章 第二九話 対話編
CASE 律法 の裏に 福音
マナミ ねぇ、トーラー、律法は、どういうものなの?
マサシ 律法とは、善い行いを、選民に教えるものさ。
マナミ 具体的には、善い行いは、どういうものなの?
マサシ 汝の神を崇め、隣人を愛し、神の民と成れ。
マナミ エヴァンゲリオン、福音って、どういうもの?
マサシ 福音とは、善い報せを、万民に届けるものさ。
マナミ 具体的には、善い報せは、どういうものなの?
マサシ 汝の敵を愛せ、悔い改めよ、神の国は近い。
マナミ つまり、神の民として、法を修めていれば、
自ずから、契約の更改を、受け容れられるの?
マサシ そうさ、先に説かれる、律法を修めるならば、
自ずから、次に解かれる、福音が広がるのさ。
マナミ う~ん、選民に対する、福音でもあるのに、
どうして、契約の更改に、脅えてしまったの?
マサシ それは、律を重んじて、行を軽んじたから。
即ち、法に囚われたから、愛が冷えたわけさ。
マナミ じゃあ、先に法で裁いたら、後に愛で癒すの?
マサシ そうだよ、選ばれた民が、択ばれない民を、
愛してたら、新しい契りに、怯えなかったよ。
マナミ ……………………!!
CASE 律法 の先に 福音
サトミ 選民に説く、律法って、どういうものかな?
メグミ 律法とは、選民が修める、神の法のことだよ。
サトミ 万民に届く、福音って、どういうものかな?
メグミ 福音とは、万民に広める、神の愛のことだよ。
サトミ 神様は、選んだ民だけ、律法を授けるわけ?
そんなの、偏った愛だよ、本物の愛じゃない。
メグミ う~ん、どうして、偏っていると思ったの?
サトミ うん、誰かを選べば、誰かが択ばれなくなる。
誰かを、救うためなら、誰かを棄てて良いの?
メグミ 駄目だよ、切り捨てたら、後で受け容れるの。
サトミ じゃあ、待たせるけど、放ってはいないの?
メグミ うん、というよりも、全ての人を救うために、
特別に、苦労する人を、選び出しただけだよ。
サトミ じゃ、万民に仕えるため、択び出されただけ?
メグミ そうよ、人類を支えるため、選び出されたの。
サトミ あら、人類の主人だって、思っていたけど、
実際は、人類の従者だった、逆だったわけね。
メグミ それって、好い気味だなって、想っていない?
今度は、あなたが代わって、選ばれるだけよ。
サトミ ……………………
CASE 律法 という 福音
サトシ 先ず修める、律法って、どういうものかな?
アツシ 律法とは、自らを律して、我を救う教えだな。
サトシ 我を律する、神の法は、どういうものなの?
アツシ 報いると、必ず酬われる、神の応報のことだ。
サトシ つまり、善を報いれば、善が酬いられるし、
その逆に、悪を酬いれば、悪が報いられるの?
アツシ そうだ、法を修めることで、世の仕組を解す。
サトシ 次に伝える、福音って、どういうものかな?
アツシ 福音とは、敵まで愛して、他を救う教えだな。
サトシ 他を愛する、神の愛は、どういうものなの?
アツシ 慈しむと、必ず愛される、神の朗報のことだ。
サトシ つまり、他を愛すなら、神から近くなるし、
その逆に、他を憎むなら、神から遠くなるの?
アツシ そうだ、愛を広めることで、神の御心を悟る。
サトシ とすると、世界の仕組が、解れば解かるほど、
他を愛する、神様の御心が、当然に映るわけ?
アツシ 報いれば、酬われるなら、必然に写るはずだ。
サトシ 愛が溢れる、世の中に、自然と移るだろうね。
アツシ それゆえ、先ず何よりも、法を修めるべきだ。
サトシ ……………………!!
CASE 福音なき律法 と 律法なき福音
サトミ 律法と福音、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 旧約の教え、律法って、どういうものかな?
メグミ 律法とは、神の法を修め、我を救う教えだよ。
サトミ 新約の教え、福音って、どういうものかな?
メグミ 福音とは、神の愛を伝え、他を救う教えだよ。
サトミ 律法を望み、福音に臨まないと、どうなるの?
メグミ 福音なき律法なんて、唯の厳法に過ぎないよ。
サトミ じゃ、法を修めるけど、愛を伝えないのかな?
メグミ そうよ、他を救わないと、他を裁くだけだよ。
サトミ 福音を望み、律法に臨まないと、どうなるの?
メグミ 律法なき福音なんて、只の慰謝に過ぎないよ。
サトミ じゃ、愛を伝えるけど、法を修めないのかな?
メグミ そうよ、自ら救わないと、慰め合うだけだよ。
サトミ 律法だけでは、強くなって、迫るだけだし、
福音ばかりでは、弱いままで、縋るだけなの?
メグミ うん、律法と福音、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、福音を究め、律法を極めていくの?
メグミ そうなの、律法を修め、福音を広めていくの。
サトミ ……………………!!