第五章 第三十話 対話編
CASE 親愛 の裏に 信愛
マナミ ねぇ、フィリア、親愛は、どういうものなの?
マサシ 親愛は、我を愛するぐらい、他を愛すことさ。
マナミ 親愛では、我を慈しむように、他を愛するの?
マサシ そうさ、他の中に隠される、我を愛している。
マナミ でも、本当に人々の中に、我が匿れているの?
マサシ 実際に、人々を愛さないと、認められないよ。
マナミ じゃ、アガペー、信愛は、どういうものなの?
マサシ 信愛は、我を忘れるぐらい、神を愛すことさ。
マナミ 信愛では、神を信じるように、他を愛するの?
マサシ そうさ、他の中に隠される、神を愛している。
マナミ でも、本当に人々の中に、神が匿れているの?
マサシ 実際に、人々を愛さないと、認められないよ。
マナミ じゃ、神を認めないなら、我を見つけるし、
反対に、神を見とめるなら、神を見つけるの?
マサシ そうだよ、自と他を同じ様に、愛していると、
そのうちに、我を忘れ去り、神が見えてくる。
マナミ なるほど、自と他の壁が、取り払われると、
いずれ、我と神の壁も、崩れ落ちていくのね。
マサシ とはいえ、愛さない限り、我を忘れないから。
マナミ ……………………
CASE 親愛 の先に 信愛
サトミ 他を愛する、隣人の愛は、どういうものかな?
メグミ 親愛とは、我を愛するよう、他を愛するのよ。
サトミ 神を愛する、信仰の愛は、どういうものかな?
メグミ 信愛とは、我を忘れるよう、神を愛するのよ。
サトミ う~ん、親愛と信愛って、どこが違うのかな?
メグミ どちらも、純粋な愛だけど、向きが違うのよ。
サトミ 我を覚えて、他を愛すと、どうなるのかな?
メグミ あたかも、他を愛すように、神を愛せるのよ。
サトミ 我を忘れて、神を愛すと、どうなるのかな?
メグミ さながら、神が愛すように、全て愛せるのよ。
サトミ 親愛の段は、我が愛を持って、愛でられて、
信愛の階では、神の愛を以って、愛でられる?
メグミ 親愛の段は、我が器を超えて、愛せないけど、
信愛の階では、我が器を越えて、愛せるのよ。
サトミ なるほどね、愛を培うことで、神に近づいて、
最終的に、自我を超えて、神の元に還るのね。
メグミ そうよ、神を愛す事で、神の愛が伝わるのよ。
サトミ じゃ、我を忘れるぐらい、愛した方が良いね。
メグミ うふっ、神を認めるぐらい、愛せると良いね。
サトミ ……………………!!
CASE 親愛 という 信愛
サトシ 人を信じる、親愛って、どういうものかな?
アツシ 親愛とは、信じることで、他を愛することだ。
サトシ う~ん、何を信じれば、他を愛せるのかな?
アツシ 我と他は、全く等しいと、信じ抜くことだな。
サトシ じゃあ、自分を愛せるなら、自分と等しい、
世の人も、愛せる筈だと、信じ抜くってこと?
アツシ そうだ、我と信じなければ、他は愛せないぞ。
サトシ 神を信じる、信愛って、どういうものかな?
アツシ 信愛とは、信じることで、神を愛することだ。
サトシ う~ん、何を信じれば、神を愛せるのかな?
アツシ 我と神は、全く等しいと、信じ切ることだな。
サトシ じゃあ、自分を愛せるなら、自分と等しい、
天の神も、愛せる筈だと、信じ切るってこと?
アツシ そうだ、我と信じなければ、神は愛せないぞ。
サトシ 自と他が、同じと信じるのは、出来そうでも、
自分が神と、同じと信じるのは、出来ないよ。
アツシ どんな訳でも、信じなければ、愛せないがな。
サトシ そう言われても、無理なものは、無理だって。
アツシ すると、未だ君は、人さえ信じられないのか。
サトシ ……………………
CASE 信愛なき親愛 と 親愛なき信愛
サトミ 親愛と信愛、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 他を愛する、親愛って、どういうものかな?
メグミ 親愛とは、我を愛すよう、他を愛することよ。
サトミ 神を愛する、信愛って、どういうものかな?
メグミ 信愛とは、我を愛すよう、神を愛することよ。
サトミ 親愛を望み、信愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 信愛なき親愛なんて、唯の溺愛に過ぎないよ。
サトミ じゃ、人は重んじても、神を軽んじているの?
メグミ そうよ、神を愛さないと、愛に溺れていくよ。
サトミ 信愛を望み、親愛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 親愛なき信愛なんて、只の狂愛に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神を重んじても、人を軽んじているの?
メグミ そうよ、人を愛さないと、愛が狂ってくるよ。
サトミ 親愛だけでは、神を愛せず、人を愛せないし、
信愛ばかりでは、人を愛せず、神を愛せない。
メグミ うん、親愛と信愛、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、信愛に依り、親愛に拠っていくの?
メグミ そうなの、親愛を究め、信愛を極めていくの。
サトミ ……………………!!