物語編
第五章 第三四話 物語編
第五章 改心 と 回心
第三四話 悪が善となる と 善が聖となる
真理は、涙に打ち震えて、身動きひとつしない、
因縁の御魂の型である、教皇に対して話し掛けた。
さあ、汝の出番です、時は動き出すと、印を組んだ。
[因縁の御魂よ、目覚めなさい、二十日余り前、
この真理の会堂に、洗礼者が、訪ねて来たはずだ。
先例を解放せよ、彼の復活無く、水瓶の時代は無い。]
[自らが封じた者を、自らが解くのは憚れるか。
牢より解き放つために、他に対して口実が必要か。
無理もない、全て明かせないなら、嘘も要るだろう。]
[魔性の女が、魅惑の舞を魅せ、民を喜ばせた。
褒美として、洗礼者の生首を、彼女が望んだため、
洗礼者を殺し、首は娘に与えて、体は弟子に渡した。]
[世間には、斯くの如き、物語を伝えると良い。
もちろん、二千年の間、私は、罪深い娼婦として、
男装の魔女として、世の人から忌み嫌われるだろう。]
[構わない、寧ろ、汝は、躊躇ってはならない。
汝は、真理の風説を屠って、真理の御霊を活かせ。
これが、因縁の御魂が広める、真実の復活劇である。]