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物語編

第五章 第三五話 物語編

第五章    契約   と   成就
第三五話 心から求める と 神から授かる

 

私が、何を付け加えても、余分なものになる。
真理の御霊よ、総てを解して、全てを認めました。
さあ、こちらへ、北東の牢獄に、使徒を封じてます。

 

凍て付く牢獄の石畳に、智徳は倒れ伏していた。
真理が、急いで走り寄り、骨と皮ばかりになった、
彼の体を抱き起こすと、氷の様に冷たくなっていた。

 

まだ助かると、彼女は、彼の身命を抱き締めた。
何時だって、貴方の命は、此処まで追い込まれた。
あなたが、この程度で、死ぬ訳がないと言い放った。

 

すると、笑いながら、智徳が静かに目を開けた。
いや、君の言葉は、三千世界に響き渡っているぞ。
死者さえ呼び覚ます声だ、ちと目覚めには緊い程だ。

 

真理が、涙ながらに、智徳を抱き締めていると、
洗礼者は、静かに、立ち上がり、頭に手を乗せた。
またも、負うた子に、助けられた、有り難い事だと。

 

洗礼者が、真理に支えられて、教皇に近づくと、
悔い改めた彼は、逆側を支えて、洗礼者に従った。
彼は恐縮していて、若干だが、彼の側に肩が下った。

 

真理は、その様子を見て、神意を即座に解した。
悔い改めたと言っても、この型は彼には負えない。
洗礼者の肩を支えられる、神芝居の演者が他に居る。

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