第五章 第三四話 問答編
マサシ サウロとは、どういうものですか?
アキラ サウロとは、熱心なユダヤ教徒であり、
ヘブライ語で、「求める者」の意である。
熱心さ故に、キリスト教を迫害していたが、
天からの光に、イエスの声を聴き、回心した。
マサシ パウロとは、どういうものですか?
アキラ パウロとは、熱心なキリスト徒であり、
ヘブライ語で、「小さき者」の意である。
多大な試練に遭うも、揺るがない信仰心で、
異邦の地に福音を伝え、ローマにて殉教した。
マサシ 改心(カイシン)とは、どういうものですか?
アキラ 改心とは、悪を改めて、善を積むこと。
悪人は、改心により、善人に生まれ変り、
いままで、逆らって来た、善を受け容れて、
これまでに、捕われて来た、悪を切り捨てる。
マサシ 回心(カイシン)とは、どういうものですか?
アキラ 回心とは、善を譲って、悪を許すこと。
善人は、回心により、聖人に生まれ変り、
いままで、懲らして来た、悪を受け容れて、
これまでに、囚われて来た、善を分け与える。
オトベ 天人に対して、厳しいのは、何故ですか?
マコト 悪人を改心に誘う方々は、他に在れど、
善人を回心に導く型は、此の地だけです。
究極の善人である、天人を悔い改めさせる、
一厘の仕組ゆえ、高次元には少し厳しいです。
オトベ 欲界の神々は、間違っているのですか?
マコト 天人は、好きを収める、善は有っても、
裏の、嫌いも納める、徳は持ってません。
善と徳、同じに見える、欲界では正しいが、
欲と徳が、違って見える、世界では誤りです。
シカベ 幽霊に対して、説かないのは、何故ですか?
マコト そもそも、此の地に、訪れないからと、
完膚なき迄、他の型が、懲らしめたから。
悪しき者を、改心に誘うのは、顕教で足り、
ここでは、片仮名の言霊は、取り上げません。
シカベ 欲界の幽鬼は、間違っているのですか?
マコト 餓鬼は、霊能的な力は、培えていても、
それ故に、精神的な力は、養えてません。
異能を喜ぶ、欲望の人には、魅力的ですが、
平凡を歓べる、感謝の人には、邪魔なばかり。
オオズ 真理を伝えたいと、真剣に考えてます。
どのように、真理を説けば、良いですか?
マコト この地に於いて、解かれている真理は、
菩薩が菩薩に解く、深淵なる教えであり、
真理が必要な菩薩は、自ずから招かれます。
薬も過ぎれば毒となり、撒いては生けません。
真理を修めた、菩薩に課された使命は、
人ではなく、天人に真理を示すことです。
人々に示して、失敗した型が既に在ります。
同じ轍を踏まない、菩薩の智慧が試されます。
求めていない、人の世に撒き散らさず、
真理を体現して、天の人に見せ付けます。
地の人が、逆境の中で、歓喜する姿を見て、
天の人々は、常識が覆り、漸く非を悟ります。
地の人が、天の人に、甘えている限り、
彼らは、慢心を覚えて、無智を固めます。
下の人が、上の人を、越えて行かなければ、
彼らは、慚愧を憶えず、無明は終わりません。
優しい法を説き、人々を改心させても、
背後に控える、闇の根源が回心しないと、
根本が救われず、次々に幻想に覆われます。
天の回心なくして、欲界の刷新は有りません。
だからこそ、真理を修めた菩薩方には、
空を悟った者にしか、到底出来ないこと、
艱難の中に在って、感謝して頂きたいです。
その勇姿に、欲界は震えて、色界は奮えます。