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物語編

第五章 第三四話 対話編

CASE 改心 の裏に 回心

 

マナミ 心を改める、改心って、どういうものなの?
マサシ 改心とは、悪を改ためて、善に生きることさ。
マナミ 悪人が、悔い改めると、善人に生れ変わるの?
マサシ そうだよ、独善を究めて、親善に極まるのさ。
マナミ 独善に、限界を感じるのは、どうしてなの?
マサシ 悪と悪が、独占を望んで、最悪に臨むからさ。
マナミ 心を回らす、回心って、どういうものなの?
マサシ 回心とは、善を回らせて、聖に生きることさ。
マナミ 善人が、悔い改めると、聖人に生れ変わるの?
マサシ そうだよ、親善を極めて、神聖に究まるのさ。
マナミ 親善に、限界を観じるのは、どうしてなの?
マサシ 善と善が、最善を望んで、最悪に臨むからさ。
マナミ そうすると、悪を究めても、善を極めても、
    欲に囚われて、矛盾が生じて、最悪に為るの?
マサシ そうさ、だから、ある段階まで、良く成れば、
    悔い改め、生き方を変える、必要が有るのさ。
マナミ 悔い改めず、暴走し続けると、どうなるの?
マサシ 遅かれ早かれ、限界が訪れ、悔い改めるけど、
    宇宙を一周して、大回心する、猛者が居るよ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 改心 の先に 回心

 

サトミ 信を改める、改心って、どういうものかな?
メグミ 改心とは、良くの対象を、乗り換えることよ。
サトミ Aは善いが、非Aは悪いと、思っていると?
メグミ Aは悪いけど、非Aは善いと、想っていくよ。
サトミ 次から次に、良くの対象を、変えていくだけ?
メグミ 捕われて、以前の対象を、悪く思ってしまう。
サトミ 信を回らす、回心って、どういうものかな?
メグミ 回心とは、良くの対象を、乗り越えることよ。
サトミ Aは善いが、非Aは悪いと、思っていると?
メグミ Aも良いけど、非Aも良いと、想っていくよ。
サトミ 次から次と、良くの対象を、広げていくわけ?
メグミ 囚われず、以前の対象を、良く思ったままよ。
サトミ 改心の段は、信仰の対象が、変わるだけで、
    回心の階では、信仰の対象が、広がるわけね?
メグミ 全ての物に、神を見とめる、真仰に至るには、
    最終的に、回心に到ることが、必要に成るの。
サトミ そっか、特別な対象だけに、神を見ていても、
    原理的に、普遍の神には、辿り着けないのね。
メグミ 絶対の神に、辿り着くには、回心しかないよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 回心なき改心 と 改心なき回心

 

サトミ 改心と回心、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を改める、改心って、どういうものかな?
メグミ 改心とは、良くを革めて、信を変えることよ。
サトミ 欲を回らす、回心って、どういうものかな?
メグミ 回心とは、良くを巡らせ、神に還えることよ。
サトミ 改心を望み、回心に臨まないと、どうなるの?
メグミ 回心なき改心なんて、唯の変心に過ぎないよ。
サトミ じゃ、信を変えるだけ、神に還らないのかな?
メグミ そうよ、欲を換えるだけ、欲に溺れたままよ。
サトミ 回心を望み、改心に臨まないと、どうなるの?
メグミ 改心なき回心なんて、只の帰心に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神に還えるだけ、信を変えないのかな?
メグミ そうよ、欲を回らすだけ、欲が汚れたままよ。
サトミ 改心だけでは、外なる神を、探し回るだけで、
    回心ばかりでは、内なる神に、舞い戻るだけ?
メグミ うん、改心と回心、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、回心を追い、改心を負っていくの?
メグミ そうなの、改心を究め、回心を極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE サ ウ ロ

 

サトシ あのね、サウロって、どういう人なのかな?
マサシ サウロは、ヘブライ語、選れた者の意味だよ。
    彼はね、とても信心深い、ユダヤ教徒だった。
サトシ どうして、キリスト教徒を、迫害していたの?
マサシ ユダヤ教は、優れていて、他は劣っている。
    そういう、選民的な教えを、信じたからだよ。
サトシ 熱心に、排他的な教えを、信じていたのかな。
マサシ うん、異教を改心させると、神に近くなると、
    信じて、異教を弾圧して、改心を逼ったのさ。
サトシ サウロよ、どうして、私を、迫害するのかと、
    ある時、彼は光を浴びて、天の声を聴いたよ。
マサシ この時に、目から鱗が落ちる、体験をして、
    ユダヤ教から、キリスト教へと、回心をした。
サトシ そうすると、ユダヤ教なんて、間違っていた。
    その時からは、ユダヤ教を、迫害したのかな。
マサシ キリストが、優れていて、他は劣っていた。
    この様に、彼は改心したと、君は思うのかい?
サトシ 今まで、誤って来ただけ、取り戻さないと。
マサシ 未だ君は、目から鱗が、落ちていないんだね。
サトシ ……………………

 


 

CASE パ ウ ロ

 

サトシ あのね、パウロって、どういう人なのかな?
マサシ パウロは、ギリシャ語、小さき者の意味だよ。
    彼はね、キリストの声を、天から聴いたのさ。
サトシ どうして、イエスの言葉が、届いたのかな?
マサシ 我を忘れて、ユダヤの神様を、信じたからさ。
サトシ それなら、ユダヤ教でも、キリスト教でも、
    我を忘れて、神を信じれば、神様に通じるの?
マサシ そうだよ、我を信じても、神様に届かないよ。
サトシ じゃあ、我を忘れていたら、どうなるのかな?
マサシ 天空から、悔い改めよと、神の声が聴こえる。
サトシ 神に従って、我を革めると、どうなるのかな?
マサシ 神を拝すだけ、神に救われて、命を授かるよ。
サトシ じゃあ、我を信じていたら、どうなるのかな?
マサシ 天空から、悔い改めよと、我の声が聞こえる。
サトシ 我に順って、神を革めると、どうなるのかな?
マサシ 他を排すだけ、我が廃されて、罪に苛まれる。
サトシ 悔い改めて、新たな命を受けた、パウロは、
    前者であって、後者ではない、ということか。
マサシ 小さいとは、後悔ではなく、再生だったのさ。
サトシ ……………………

 


 

CASE サウロ という パウロ

 

サトミ 大きいもの、サウロって、どういうものかな?
メグミ サウロは、熱心で敬虔なる、ユダヤ教徒だよ。
サトミ 小さいもの、パウロって、どういうものかな?
メグミ パウロは、熱心で敬虔なる、キリスト教徒よ。
サトミ 初めは、ユダヤ教の善に、捕われていたの?
メグミ それゆえ、キリストの善が、許せなかったの。
サトミ だから、キリスト教徒を、迫害していたのね。
    その彼が、後から改宗して、何が起こったの?
メグミ 天から、イエスの声が届いて、回心したのよ。
サトミ イエスが、神の子であると、善を改めたの?
メグミ ううん、それだと改心で、サウロのままだよ。
サトミ イエスも、神の子であると、善を広げたの?
メグミ そうよ、それこそ回心で、パウロになったの。
サトミ じゃ、他の善を認めず、我が善に囚われると、
    決して、善を譲って、小さき者に成れないの?
メグミ 自分だけ、正しいって、考える人は大きいよ。
サトミ そっか、この考え方こそ、正しかったのね。
    今までは、別の考え方して、正しくなかった。
メグミ うふっ、そういう考え方では、改心しただけ。
サトミ ……………………

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