物語編
第五章 第三九話 物語編
第五章 自助 と 神助
第三九話 罪を重ねない と 罪が許される
すると、王に、足の萎えた者が、このように訴えた。
〈偉大な王よ、如何なる罪も、自業自得ならば、
どうして、王は、私を扶けずに、奴を助けたのか。〉
『悔い改めなさい、悔い改めたのは、彼方ではない。』
〈あなたは、真実を知らないから、そう言える。
あなたも、真実を見てしまえば、そうは云えまい。
彼奴は、我が父を火で焼き殺した、凶悪なる殺人者。〉
〈目が見えなかったのは、その光で焼いたから。
将に自業自得、にもかかわらず、奴の目は開いた。〉
『何人も、彼を裁いてはならない、彼を許しなさい。』
〈たとえ、王の命だろうと、奴だけは許せない。
奴の罪に酬いる為だけに、今まで私は生き存えた。〉
『何人も、彼に酬いてはならない、神に委ねなさい。』
〈いや、神に委ねていれば、この様ではないか。
地獄に堕ちようと構うものか、奴だけは道連れに。〉
『断ちなさい、今こそ、自らの足で、怨恨の枷鎖を。』
『君の足が立たないのは、彼を憎み続けるからだ。
彼の過ちを許しなさい、君の足が立てるようになる。』
悔い改めて、打ち奮える肢で、自立の道が拓かれる。