第五章 第三五話 対話編
CASE 契約 の裏に 成就
マナミ 臨みを望む、契約って、どういうものなの?
マサシ 契約とは、臨んでいくと、望んでいることさ。
マナミ 望みに臨む、成就って、どういうものなの?
マサシ 成就とは、望んでいると、臨んでいくことさ。
マナミ つまり、臨んでいないなら、望んでいないの?
マサシ うん、望んでいないから、臨んでいないのさ。
マナミ すると、望んでいても、臨んでいないのは、
本心から、望んでいない、証ということなの?
マサシ そうさ、求めよ、然すれば、与えられんだよ。
即ち、与えられないのは、求めてないからさ。
マナミ う~ん、求めていても、与えられないこと。
即ち、邪魔が入ることも、有るんじゃないの?
マサシ ううん、我と神の間に、何か入れたらダメさ。
ひたすら、神と向き合い、自らを知らないと。
マナミ 神様は、自らを知るための、鏡に他ならない?
マサシ そうだよ、神と向き合う者は、真実に覚めて、
反対に、鏡と向き合わない者は、幻想に酔う。
マナミ わたしは、邪魔が入ることも、有ると思うの。
マサシ 確かに、今の君を見てたら、そう見えるけど。
マナミ ……………………
CASE 契約 の先に 成就
サトミ 神と約する、契約って、どういうものかな?
メグミ 契約とは、言葉を持って、意識することだよ。
サトミ 言葉をして、意識するのは、どういうとき?
メグミ 型として、形よりも前に、意味を表すときよ。
サトミ 神が成せる、成就って、どういうものかな?
メグミ 成就とは、現実を以って、意識することだよ。
サトミ 現実をして、意識するのは、どういうとき?
メグミ 形として、型よりも後に、意味を現すときよ。
サトミ 必ず、型を創ってから、形を作っていくの?
メグミ そうよ、魔が誘うときも、神が導くときも、
必ず、先に報せてから、後で酬いていくのよ。
サトミ 人類は、自由が有り、意志が重んじられるの?
メグミ 契約なく、干渉しない、この掟に魔も従うよ。
サトミ 魔の契約は、曖昧であり、分かり難いけど、
神様の契約は、明確であり、解かり易いわけ?
メグミ 魔の仕掛は、型に嵌めて、形に備えさせず、
神様の仕組は、型を解かせ、形を具えさせる。
サトミ 悪魔でさえ、律儀に守るのは、かわいいよね。
メグミ 自業自得って、言うだけよ、分かり難かった?
サトミ ……………………
CASE 契約 という 成就
サトミ あ~ん、神様、お願い、本当は居るんでしょ!
あたしの、願いを聴いて、望みを適えてよう。
マナミ 心から、求めていれば、何でも叶えられるの。
それでも、適わないのは、心から望んでない。
サトミ あんた、あたしの話を、ちゃんと聞いていた?
こんなに、求めていても、与えられないのよ。
マナミ はじめから、聴いていたの、だから言うの。
あなたは、望んでいない、だから叶わないの。
サトミ どのように、これ以上、本気で望めば良いの?
マナミ ころころ、変えてないで、こころから望むの。
途中で、望みが変わるから、臨めなくなるの。
サトミ じゃ、現在に願うことと、過去に望んだこと。
両者が、矛盾しているから、適わなくなるの?
マナミ 同時には、敵わないから、時機が叶わないの。
サトミ 現在、願ったことを、適えればいいじゃない。
マナミ 過去に、望んだことを、叶えているじゃない。
サトミ 結局、言い訳ばかり、適えられないんでしょ。
マナミ ううん、神様には、叶えられないものはない。
サトミ そもそも、神なんて、本当は居ないんでしょ!
マナミ ……………………
CASE 契約 と 試練 と 成就
サトシ 神様を望む、契約って、どういうものかな?
マサシ 契約とは、神聖に臨むと、神聖を望むことさ。
サトシ 神様に臨む、成就って、どういうものかな?
マサシ 成就とは、神聖を望むと、神聖に臨むことさ。
サトシ 神様が試す、試練って、どういうものかな?
マサシ 試練とは、神聖を望むと、真正に臨むことさ。
サトシ じゃあ、心から望めば、神に会えるのかな?
マサシ うん、神に会えないのは、心から望んでない。
サトシ う~ん、そんなことないよ、神に会いたいよ。
マサシ そんなの、本心じゃない、嘘を吐いているよ。
つまり、神と我の間に、魔が入り込んでいる。
サトシ じゃ、真正に合わないと、神聖に会えないの?
マサシ そうさ、与えられないのは、求めてないから。
この鏡で、省みない限り、本心は解からない。
サトシ 違うよ、神に会いたいのに、魔が阻むんだ。
邪魔さえ、居なかったら、神に会えるはずさ。
マサシ そうやって、何かの所為に、君がする限り、
いつ迄も、真正を認めず、神聖を見とめない。
サトシ もう止めて、邪魔しないで、僕は本気なんだ。
マサシ ……………………
CASE 契約 と 破棄 と 成就
サトシ 神様を望む、契約って、どういうものかな?
マサシ 契約とは、試練を懸けて、神聖を望むことさ。
サトシ 神様に臨む、成就って、どういうものかな?
マサシ 成就とは、試練を越えて、真正に臨むことさ。
サトシ 神様を拒む、破棄って、どういうものかな?
マサシ 破棄とは、試練に躓いて、不正に臨むことさ。
サトシ 神を望むと、試されるのは、どうしてなの?
マサシ 真の神は、神聖にして真正で、嘘が無いから、
深層に迫り、神に逼るほど、嘘が許されない。
サトシ 臨めないのは、望まないから、そう考えると?
マサシ 嘘を認めて、真相に迫ることが、赦されるよ。
サトシ 望んでいても、臨めないから、そう考えると?
マサシ 嘘を重ねて、深層に逼ることが、許されない。
サトシ つまり、嘘を認めれば、魔が生れてこないし、
逆に、嘘を見とめないと、魔が産れてくるの?
マサシ そうさ、鏡が魔で汚されて、幻に酔い痴れる。
サトシ じゃ、神を望んでいても、神に臨めないのは、
心から、望んでいないって、認めるべきだね。
マサシ ほら、神に会いたい君を、誰も邪魔してない。
サトシ ……………………!!
CASE 成就なき契約 と 契約なき成就
サトミ 契約と成就、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 神と交わす、契約って、どういうものかな?
メグミ 契約とは、我に解されて、意を決めることよ。
サトミ 神が適える、成就って、どういうものかな?
メグミ 成就とは、神に介されて、意が現れることよ。
サトミ 契約を望み、成就に臨まないと、どうなるの?
メグミ 成就なき契約なんて、唯の破棄に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我が解されても、神が介されないの?
メグミ そうよ、意が現れないと、意が破れるだけよ。
サトミ 成就を望み、契約に臨まないと、どうなるの?
メグミ 契約なき成就なんて、只の放棄に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神が介されても、我が解されないの?
メグミ そうよ、意を決めないと、意が放れるだけよ。
サトミ 契約だけでは、神を略して、要を約せないし、
成就ばかりでは、我を略して、要を扼せない。
メグミ うん、契約と成就、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、成就を追い、契約を負っていくの?
メグミ そうなの、契約を透し、成就を徹していくの。
サトミ ……………………!!
CASE ペ テ ロ の 否 認
サトシ 神様は、試練を授けるとき、言質を取るの?
マサシ おや、導く側の教えだね、経験が伴わないと、
絶対に、認められないけど、本当に知りたい?
サトシ 知りたい、絶対に認めるから、理由を教えて。
最初に、契約を交わすのは、どうしてなのか。
マサシ 自由意志、人類の選択を、重んじるからさ。
強制しても、学びが無いと、考えるからだよ。
サトシ 試す前に、型を明かして、形で験すわけだね。
具体的には、どういう型が、存在するのかな?
マサシ 最後の晩餐に、ペテロは、道に躓く型を見て、
「皆が躓こうと、私は躓きません」と言った。
サトシ これで、言質が取られて、試練が始まったの?
マサシ うん、その言葉が本心かが、試されるわけさ。
サトシ 「朝方までに、三度躓く」と、宣告されたよ。
マサシ ペテロは、否定したけど、その通りになった。
サトシ その瞬間に、鶏が鳴いたの、象徴的だったね。
マサシ この様に、言質を取って、試練を授けるのさ。
サトシ う~ん、これが特別であり、偶然じゃないの?
マサシ この様に、言質を取って、試練を与えるのさ。
サトシ ……………………
CASE 乳香 と 黄金 と 没薬
サトシ 救世主が、現われないのは、どうしてかな?
マサシ 心から、望んでいるなら、授けられるのに、
誰も、求めてないから、与えられないだけさ。
サトシ う~ん、少なくとも僕は、求めているけどね。
マサシ 二千年前、魚座の救世主が、誕生した時には、
人類の型に、三博士が選ばれ、贈物を捧げた。
サトシ 救世主に、何の象徴として、乳香を奉げたの?
マサシ 心から、主を迎えるため、善業を積み続ける。
即ち、礼拝を示すもの、祭司の象徴だったよ。
サトシ 救世主に、何の象徴として、没薬を捧げたの?
マサシ 心から、主を迎えるため、悪業を悔い改める。
即ち、懺悔を示すもの、医師の象徴だったよ。
サトシ 救世主に、何の象徴として、黄金を奉げたの?
マサシ 心から、主を迎えるため、御心を受け容れる。
即ち、帰依を示すもの、王者の象徴だったよ。
サトシ つまり、これぐらい、真剣に求めなければ、
この地に、神の御子は、誕生しないってこと?
マサシ そうさ、これらの要素を、自らが備えないと、
鏡だから、本物の救世主は、決して現れない。
サトシ ……………………!!