物語編
第五章 第四四話 物語編
第五章 宗教 と 科学
第四四話 結果を信じる と 原因を確める
『私は、この流れを、食い止めようとしました。
強き者より優れた力を、弱き者にも伝えることで。
ええ、真実を弁える者が、現実の力を蓄えるのです。』
『人々に、宗教を教えて、神の形を説きました。
すると、誰もが終末を、信じるように為りました。
とはいえ、神意を悟った、覚者は表れませんでした。』
『人々に、科学を訓えて、真の型を解きました。
すると、誰もが創世を、確めるように為りました。
とはいえ、真意を解した、賢者は現れませんでした。』
『師よ、一を説いて、二に解かれるでしょうか。
ところが、彼らは、宗と学は別と考えてしまった。
彼らは、痴に落ちて、もはや、神に会える事がない。』
『信じよと説かれても、我のことを信じている。
信じるなと解かれてこそ、神のことを信じられる。
彼らは、我に囚われて、神理を分けてしまいました。』
『師よ、神に背いて、真理を悟れるでしょうか。
ところが、彼らは、言と行は別と考えてしまった。
彼らは、慢に溺れて、もはや、己を省みる事がない。』
『そうです、汝自身を知るべし、哲学こそが真理。
此処で彼らは、確めるべきでした、信じることなく。』