物語編
第五章 第四五話 物語編
第五章 支配 と 解放
第四五話 外から治める と 内から治まる
『宗教は、捻じ曲げられて、国の事に遣われて、
科学は、持て余まされて、家の事に使われました。
惜しいかな、どちらも、神の事に仕えませんでした。』
『説き明かした、宗教の力で、集められた富を、
強き者は、神の子に至るために、遣うべきでした。
悲しいかな、彼らは、貪欲に陥り、魔の子となった。』
『解き放たれた、科学の力で、与えられた時を、
弱き者は、強き者に到るために、使うべきでした。
哀しいかな、彼らは、享楽に耽り、獣の子となった。』
『師よ、天に借りて、返さずに済むでしょうか。
ところが、彼らは、見逃されると考えてしまった。
腹だけが膨れ上がり、もはや、マナは降って来ない。』
『借りるときは、我らを、神と崇め奉りますが、
返すときになると、我らを、魔と罵り蔑むのです。
彼らは、欲に溺れて、天と魔を分けてしまいました。』
『師よ、天を裁いて、裁かれず済むでしょうか。
ところが、彼らは、見過されると考えてしまった。
我らを貶める余りに、もはや、彼らは神が見えない。』
『そうです、獣の数と呪われる、数字こそが暗号。
神を認める目には神の目、魔を認める目には魔の目。』