物語編
第五章 第四六話 物語編
第五章 慈悲 と 峻厳
第四六話 楽が組まれる と 苦が組まれる
『どんなに、憎まれようとも、妬まれようとも、
わたしは、彼らが、悔い改めるのを、待ち続けた。
しかし、彼らは、神と魔を取り違えて、獣に堕ちた。』
『いまこそ、柔和な神が、憤怒の顔に変わる時。
慈悲の柱を建て終えて、峻厳の柱を建て始める時。
禽獣と交わるものは、泣き喚き、歯軋りするだろう。』
『仕方がない、それも含めて、彼らが選んだ道。
さあ、我が師よ、最後の審判を、明らかにし給え。
その昔、ソドムとゴモラに下した、終末の日の如く。』
『我が師よ、必要とあらば、神の軍を遣い給え。
我が兵は、信仰に裏付けられて、勇猛にして果敢。
悪魔と交わる者を、容赦なく、根絶しにするだろう。』
この、法徳の懇願を受けて、智徳は天命を享けた。
彼らの篤い心は、うねりを上げて、天空を焦がした。
「良くぞ言った、法徳、兵を呼び集めるが良い。
しかし、神の精鋭を率いるのは、この私ではない。
主は、私の後から来る方で、私は足元にも及ばない。」
「さあ、選ばれし民を、救い主に引き合わせよう。
この世界の中心、救世主の坐する、神の社にて待て。」