第五章 第四十話 対話編
CASE 選民 の裏に 択法
マナミ 選ばれる民、選民って、どういうものなの?
マサシ 選民とは、法に合わせて、民を選ぶことだよ。
マナミ 深い教えを、神が解くとき、どうするのかな?
マサシ その法に、応じた人を選んで、解き明かすよ。
マナミ 選んだ民が、特別と思い込むと、どうなるの?
マサシ 選ばれた民が、後悔するほど、罪が重くなる。
マナミ 択ばれる法、択法って、どういうものなの?
マサシ 択法とは、民に合わせて、法を択ぶことだよ。
マナミ 合う教えを、民が望むとき、どうするのかな?
マサシ その人に、応じた法を択んで、説き明かすよ。
マナミ 択んだ法が、特別と想い込むと、どうなるの?
マサシ 択ばれた法が、腐敗するほど、業が深くなる。
マナミ それなら、民を選ぶにせよ、法を択ぶにせよ、
条件に、合わせただけで、特別な訳じゃない?
マサシ うん、普遍に見るため、理が説かれたのに、
囚われ、特殊に見るなら、利に過ぎないのさ。
マナミ 我が民が、別格と思ったら、賤民に為るし、
我が宗教が、格別と想ったら、邪宗に成るの?
マサシ 君ならば、解かると思って、説き明かしたよ。
マナミ ……………………!!
CASE 選民 の先に 択法
サトミ 民族を選ぶ、選民って、どういうものかな?
メグミ 選民とは、法の民として、民を選ぶことだよ。
サトミ つまり、説くべき法が、民より先にあるとき?
メグミ 地に臨む、神様から見て、法を解くときだね。
サトミ この教えが、人類の為には、必要だと説くの?
メグミ そうだよ、法に相応しい、民を選び抜くのよ。
サトミ 教義を択ぶ、択法って、どういうものかな?
メグミ 択法とは、民の法として、法を択ぶことだよ。
サトミ つまり、解くべき民が、法より先にあるとき?
メグミ 天を望む、人類から見て、法を説くときだね。
サトミ この教えが、自分の為には、必要だと選ぶの?
メグミ そうだよ、民に相応しい、法を択び取るのよ。
サトミ つまり、全体の為には、部分を選ぼうとして、
逆に、個人の為には、教義を択ぼうとするの?
メグミ 初めに、全体に対して、説くのは危ないのよ。
形の前に、部分に対して、法を解き明かすの。
サトミ 人類全体に、関わるものは、民族を選んで、
係らない、個別のものは、教義を択ぶわけね。
メグミ うふっ、個我に囚われたら、選民じゃないよ。
サトミ ……………………!!
CASE 選民 という 択法
サトシ 民族を創る、選民って、どういうものかな?
アツシ 選民とは、民の礎として、民を選ぶことだな。
サトシ 選んだ民が、特別と思うと、どうなるのかな?
アツシ 万民まで、届かないから、選民の価値が無い。
サトシ つまり、人類のために、民を選び出したのに、
全体まで、広がらないと、本末転倒になるの?
アツシ そうだ、選ばれた民として、最たる禁忌とは、
後に続く、隠された民を、侮り蔑むことだな。
サトシ 宗教を作る、択法って、どういうものかな?
アツシ 択法とは、法の礎として、法を択ぶことだな。
サトシ 択んだ法が、特別と想うと、どうなるのかな?
アツシ 奥義まで、解けないから、択法の意味が無い。
サトシ つまり、相手に合せて、法を択び出したのに、
真髄まで、深まらないと、主客顛倒になるの?
アツシ そうだ、択ばれた法として、最たる禁忌とは、
後に続く、隠された法を、侮り辱めることだ。
サトシ そっか、民族でも宗教でも、自分達だけが、
特別だと、思い込んだら、最悪な罠に嵌まる。
アツシ 君なら、この隠れた意味が、解かる筈だよな。
サトシ ……………………!!
CASE 択法なき選民 と 選民なき択法
サトミ 選民と択法、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 万民を誘う、選民って、どういうものかな?
メグミ 選民とは、優れた民から、選んで行くことよ。
サトミ 真理に導く、択法って、どういうものかな?
メグミ 択法とは、易しい法から、択んで行くことよ。
サトミ 選民を望み、択法に臨まないと、どうなるの?
メグミ 択法なき選民なんて、選民主義に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我が民族こそが、最高と捕われるの?
メグミ そうよ、他の民族に示す、手本と気づかない。
サトミ 択法を望み、選民に臨まないと、どうなるの?
メグミ 選民なき択法なんて、原理主義に過ぎないよ。
サトミ じゃ、此の教義こそが、至高と囚われるの?
メグミ そうよ、深い教義に至る、導入と気づかない。
サトミ 選民だけでは、民に捕われ、族に腐るだけ。
択法ばかりでは、法に囚われ、業に朽るだけ。
メグミ うん、選民と択法、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、択法を解し、選民を介していくの?
メグミ そうなの、選民を究め、択法を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE ユ ダ ヤ
サトシ あのね、ユダヤ民族って、どういうものかな?
マサシ ユダヤは、選民であり、イサクの子孫なのさ。
サトシ じゃあ、ユダヤ民族って、優れているんだね。
マサシ いや、選れては居ても、優れるとは限らない。
つまり、人類の型であり、色々な人がいるよ。
サトシ それなら、優れた人も、優れていない人も、
縮図である、ユダヤには、存在している訳か。
マサシ それゆえ、嬉しい事も、悲しい事も起こり、
それが、総べての人類に、広がって行くのさ。
サトシ じゃ、選民の振り見て、我が振りを直せば、
人類は、是だけを倣って、非を改められるの?
マサシ そうだよ、このために、神は民を選んだのさ。
サトシ でもね、現在のユダヤは、子孫と限らないよ。
マサシ うん、ユダヤ教を信仰する、人々に過ぎない。
サトシ う~ん、本物の選民って、どこに居るのかな?
これでは、型を探さないと、型に学べないよ。
マサシ 心から、求めているなら、見つかるはずだよ。
サトシ どうして、こんな事に、なっちゃったのかな?
マサシ 選民を、求めてない処か、追い払ったからさ。
サトシ ……………………