物語編
第五章 第四七話 物語編
第五章 希望 と 絶望
第四七話 我を明らめる と 神を明らめる
聖地を回復せよ、王の呼び掛けに、諸侯が集う。
神の兵の数、観とめられるだけでも、およそ百万。
彼らは、賛美の歌を謳って、善意の道を突き進んだ。
そして、聖地に帰り着くと、智徳は誇らしく叫んだ。
「主よ、九分九厘、神の仕組は整えられました。
さあ、玉座に着いて、残る一厘を明らかにし給え。
あの神殿こそが、預言の地、王の中の王を決める丘。」
そして、神に至る道を、彼が、指し示すや否や、
その道の両脇を、親衛隊が立ち並び、塗り固めた。
強い信に敷き詰められた道を、救い主が進んでいく。
“ああ、この日を、どれだけ、待ち望んだことか。
絶えることなき、望みなくして、この日は無かった。”
救い主を褒め称える、民の熱狂に包まれながら、
智徳は過去を振り返り、目に篤い涙が込み上げる。
こんな日が来るとは、信じはしたが、疑ってもいた。
神殿の前で、主を出迎え、法徳は恭しく挨拶した。
主の傍らには、真理が控え、一目で誰かを理解した。
『我が師の師、王の中の王、我らが救い主よ。
さあ、こちらへ、ここは、世の中心、神の御座。
ここで、明かした神の意は、世の末に広げられる。』