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物語編

第五章 第五十話 物語編

第五章    仕組   と   仕掛
第五十話 神に仕え導く と 我に支え躓く

 

又か、神の子は、何時でも、自我を狂わせる。
信じても、信じても、何度でも、足元を掬われる。
決して、信じ切れない処まで、辿り着いてしまった。

 

昔の私なら、当然、この非礼に報いただろう。
しかし、今の私がある、我が師に免じて報いまい。
早々に立ち去られよ、我が民は昔の私と変わらない。

 

ここまで成長した、我が子を頼もしく思うほど、
どこまでも愚弄する、我が師が恨めしく思われた。
救い主の、見てはならない面を、見せつけらた様だ。

 

智徳が帰ると、主は、弟子に教えを説いていた。
その場は安らぎ、時折り、笑い声まで聞えてくる。
主は表と裏がある、彼らは、主の裏の顔を知らない。

 

彼が、こう呟いたとき、主は、彼の方を振り返った。

 

親が習えば子も倣う、王が改めて民も革める。
神の子を裁く事なく、神の子に委ねるべきだった。
神の道を立て直す日に、汝は世の礎になれなかった。

 

もう一度、汝に、露払いとなる機会を与える。
ユダと名のり、ユダヤ人の手本として、振る舞え。
ただし、これが、約束した三度目だ、この次はない。

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