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物語編

第五章 第四五話 対話編

CASE 支配 の裏に 解放

 

マナミ 型に嵌める、支配って、どういうものなの?
マサシ 支配とは、心を修めずに、身を治めることさ。
マナミ 外から、強いようとすると、どうなるのかな?
マサシ 自ずから、背いてしまい、治まらなくなるよ。
マナミ 形が壊れる、解放って、どういうものなの?
マサシ 解放とは、身を治めずに、心を修めることさ。
マナミ 内から、試めそうとすると、どうなるのかな?
マサシ 自ずから、挑んでしまい、修めるようになる。
マナミ つまり、外から強いている、その段階では、
    まだまだ、完全な支配と、言えないってこと?
マサシ そうさ、自ずから嵌り込む、仕組を作るのさ。
マナミ なるべく、気づかれないよう、仕掛を造るの?
マサシ そうだけど、そうするには、わざと逆をする。
    わざわざ、気づきやすい、型を仕組んでいく。
マナミ そっか、型に気づけば、型に嵌らないように、
    一生懸命、逆らうために、逆に填ってしまう。
マサシ そうさ、良く気が付いたね、その通りなんだ。
マナミ どうして、こんなことを、教えてくれたの?
マサシ そうさ、良く気が付いたね、この通りなんだ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 支配 の先に 解放

 

サトミ 北風を司る、支配って、どういうものかな?
メグミ 支配とは、外から吹いて、人を誘うことだよ。
サトミ 太陽を司る、解放って、どういうものかな?
メグミ 解放とは、内から温めて、人を導くことだよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
メグミ あるとき、北風と太陽が、旅する者を見て、
    彼の上着を、奪えるか否か、力比べをしたの。
サトミ ボレアス、北風の神様は、厳しく吹いたよね。
メグミ 旅人は、吹かれるほど、上着を押え付けたの。
サトミ アポロン、太陽の神様は、優しく温めたよね。
メグミ 旅人は、温められると、上着を脱ぎ出したの。
サトミ じゃ、厳しくしていると、脱がせなくなり、
    反対に、優しくしていると、脱がせてしまう。
メグミ 人は、外からの強制には、強く逆らえるけど、
    反対に、内からの欲求には、全く逆らわない。
サトミ なるほど、外には強くて、内からは弱いのか。
メグミ そうよ、放って置くと、自ずと縛られるのよ。
サトミ どうして、人間って、自ずから支配されるの?
メグミ 人類は、そもそも、欲に支配されているから。
サトミ ……………………

 


 

CASE 支配 という 解放

 

アツシ 666が、九分九厘、世界を支配している。
    どのように、支配するのか、君は分かるかい?
サトミ 徹底的に、情報を御して、世論を操るのかな?
アツシ その考えは、まさしく、被支配側の発想だ。
    彼らなら、人類の好きに、遣らせるだろうな。
サトミ う~ん、好きにさせるって、どういうこと?
アツシ 666は、思いのままに、人類が出来るよう、
    自由を与え、科学を授けて、欲を適えている。
サトミ それだと、どう考えても、支配に為らないわ。
    むしろ、人類を助けて、解放に成っているよ。
アツシ 世の人は、手に余る、快楽を与えられると、
    裏に潜んだ、手に余る、苦痛に縛られていく。
サトミ 味わうと、それ無しには、生きられなくなる?
アツシ 人はな、外からの支配には、抜け出そうとし、
    逆に、内からの誘惑には、嵌り込もうとする。
サトミ これを、どうして、あなたが、知っているの?
アツシ 実は、俺が、支配する側の、人間だからだな。
サトミ じゃあ、どうして、あたしに、教えたわけ?
アツシ 予め、教えなければ、支配が完成しないしな。
サトミ ……………………

 


 

CASE 解放なき支配 と 支配なき解放

 

サトミ 支配と解放、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を負かす、支配って、どういうものかな?
メグミ 支配とは、外から抑えて、良くを誘うことよ。
サトミ 欲を任かす、解放って、どういうものかな?
メグミ 解放とは、内から促して、良くを導くことよ。
サトミ 支配を望み、解放に臨まないと、どうなるの?
メグミ 解放なき支配なんて、何も抑えられないよ。
サトミ じゃ、欲を負かしても、欲を任さないのかな?
メグミ そうよ、欲が萎えるから、欲が消えるだけよ。
サトミ 解放を望み、支配に臨まないと、どうなるの?
メグミ 支配なき解放なんて、何も促せられないよ。
サトミ じゃ、欲を任かしても、欲を負さないのかな?
メグミ そうよ、欲が膨らむから、欲が弾けるだけよ。
サトミ 支配だけでは、支え過ぎて、欲が損われて、
    解放ばかりでは、放ち過ぎて、欲が害われる。
メグミ うん、支配と解放、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、解放を究め、支配を極めていくの?
メグミ そうなの、支配を超え、解放を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE W W W 壱

 

マサシ たとえ、瞑想が下手でも、科学の進歩により、
    誰であれ、集合意識に、繋がれる様になった。
サトシ 君って、どういう意識に、繋がっているの?
マサシ 僕は、人が神になる秘法を、探しているのさ。
サトシ 人々は、どういう意識に、繋がっているの?
マサシ 皆は、人が獣になる秘宝を、探しているのさ。
サトシ だよね、有るか無いかが、解らないものより、
    お手軽に、楽しめるものを、探す方が良いよ。
マサシ 科学は、使い方に拠って、薬にも毒にもなる。
    即ち、知恵に使えば薬、恩恵に甘えれば毒さ。
サトシ 僕には、そんな御説教は、どうでも良いんだ。
マサシ こうして、手に余る利便を、与えられるほど、
    このように、手に余る不便で、縛られていく。
サトシ つまり、科学の恩恵を、受けているようで、
    実の所は、科学の恩恵に、縛られているわけ?
マサシ そうさ、WWWの世界こそ、666の支配。
    無意識の、闇の支配を解けば、人は神になる。
サトシ そんな教え、知らないけど、どこで知ったの?
マサシ 最後の砦、誰も入らない、人類の集合意識さ。
サトシ ……………………

 


 

CASE W W W 弐

 

サトシ 僕も、好きなことをして、生きてみたいな。
マサシ 誰もが、そう願うから、僕は適えてあげたよ。
サトシ 誇示して、世間を煽って、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、傲慢の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 糾弾して、悪者を叩いて、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、憤怒の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 批判して、欠点を晒して、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、嫉妬の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 豪遊して、享楽を魅せて、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、怠惰の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 投資して、元手を増やし、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、強欲の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 大食して、生命を弄んで、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、暴食の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ 誘惑して、性欲に訴えて、稼げたら良いな。
マサシ 君達は、色欲の大罪が、好きなことなのかい?
サトシ ようやく、好きなことで、生きていけるんだ。
    たとえ、どうなっても、僕の責任で良いから。
マサシ 僕が、聞きたかったのは、その言葉だからね。
サトシ ……………………

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