物語編
第五章 第五三話 物語編
第五章 信 と 行
第五三話 仰いで信じる と 行じて確める
智徳は、夜の内に、古くからの、弟子を呼び集めた。
「主に魔が入るのを見た、主は乱心されている。
これより説かれる道は、新しい神の教えではない。
魔に歪められる前の教え、正統なる神の教えである。」
「私が確めた、主の裏の顔を、君らは知らない。
表の顔は優しいが、だからこそ、裏の顔は厳しい。
確かめたい者は、着いて来なさい、この道は険しい。」
彼らの中に動揺が走る、が、彼らは知る方を選んだ。
「イスラーム、唯一にして絶対、全知を信ぜよ。
信じるだけなら、盲信に止まって、堕落が始まる。
神を確かめよ、神を騙る我を信じて、彼らは堕ちた。」
そう言うと、信に篤い、優れた弟子が、こう尋ねた。
〈使徒よ、わたしにも、確めてさせて頂きたい。
乱心をなされたのは、主の方か、いや、子の方か。
堕落をさせられるのは、彼の法か、いや、我が法か。〉
「その両方である、確められる者から、確かめよ。
確めない者は改められず、確かめる者が革められる。」