物語編
第五章 第五四話 物語編
第五章 礼拝 と 巡礼
第五四話 一日を掛ける と 一生を掛ける
「アッラーフ、久遠にして普遍、全能に従がえ。
確かめなければ天使、信じなければ人類、となる。
己の意志を以って、神の意思を告げる、使徒に随え。」
そう言うと、芯が強い、秀でた弟子が、こう尋ねた。
〈使徒よ、わたしは、神を見ることができない。
見えない父に、如何に、心を合わせれば良いのか。
神に従えという、魔に随うのでは、確めようがない。〉
「君は、この使いを見て、神の使徒と信じるのか。」
〈使徒よ、信じる、だから、確かめようとしている。〉
「良いだろう、その告白を、忘れてはならない。
いつも契約を交わした、この地に立ち返るが良い。
日に五度、生に一度、ここを訪れ、初心を思い出せ。」
「この地に心を合わせ、一日に五度、礼拝せよ。
それが毎日になれば、信仰を培えている証であり、
それが四度になるとき、信仰が損なわれた徴である。」
「この地に身を会わせ、一生に一度、巡礼せよ。
それが不能なうちは、礼拝が足りてない証であり、
それが可能になるのは、礼拝を重ねてきた徴である。」