第五章 第四七話 対話編
CASE 希望 の裏に 絶望
マナミ 明めること、希望って、どういうものなの?
マサシ 希望とは、思いのままに、望むということさ。
マナミ 思いのまま、望んでいると、どうなるのかな?
マサシ 望むから、適う事も有り、叶わない事も有る。
マナミ 思いのまま、望み続けると、どうなるのかな?
マサシ 不自然に、偏ってしまい、歓喜が消えるのさ。
マナミ 諦めること、絶望って、どういうものなの?
マサシ 絶望とは、在りのままに、臨むということさ。
マナミ 在りのまま、臨んでいると、どうなるのかな?
マサシ 臨むから、叶う事も無く、適わない事も無い。
マナミ 在りのまま、臨み続けると、どうなるのかな?
マサシ 自然体に、直ってしまい、歓喜が蘇えるのさ。
マナミ う~ん、希望が善くて、絶望が悪いものと、
当り前に、見ていたけど、本当は違うのかな?
マサシ 今度は、そう想うけど、それでは浅いのさ。
逆に、希望が悪くて、絶望が善い訳じゃない。
マナミ う~ん、何が善いのか、分からなくなった。
もう、希望が持てないし、絶望でしかないの。
マサシ そこで、自然に任かせたら、歓喜が甦えるよ。
マナミ ……………………!!
CASE 希望 の先に 絶望
サトミ 良くを望む、希望って、どういうものかな?
メグミ 希望とは、良くを持って、時を望むことだよ。
サトミ 楽を求めて、未来を望むと、どうなるのかな?
メグミ 時間が流れて、実感が漏れて、先に求めるよ。
サトミ 飽くに臨む、絶望って、どういうものかな?
メグミ 絶望とは、飽くを以って、時に臨むことだよ。
サトミ 苦を受けて、現在に臨むと、どうなるのかな?
メグミ 時間が止まり、実感が集まり、今に留まるよ。
サトミ じゃ、希望を持って、時の連鎖に絡まるし、
反対に、絶望を以って、時の連鎖を越えるの?
メグミ うん、希望を知ると、先に臨もうとするし、
反対に、絶望を知ると、先に望まなくなるよ。
サトミ じゃ、絶望したって、口では言っていても、
時間が、進んでいれば、絶望し切ってないの?
メグミ そうだよ、これでなくて、あれならどうって、
希望の種が、意識の奥底に、残っているのよ。
サトミ う~ん、絶望は易いけど、希望は難しいって、
いままで、思っていたけど、実際は違うわけ?
メグミ うふっ、完全に絶望するのは、最後の時だよ。
サトミ ……………………
CASE パ ン ド ラ の 箱
サトシ あのね、パンドラって、どういうものかな?
マサシ それはね、大神ゼウスが、人類を試すために、
贈り込んだ、人類の最初の、女性のことだよ。
サトシ この贈り物は、受け取ったら、いけなかった?
マサシ いつか必ず、災いに為ると、忠告されたのに、
取り憑かれる、魅力に負けて、結婚したのさ。
サトシ じゃあ、パンドラの箱って、どういうもの?
マサシ それはね、大神ゼウスが、人類を試すために、
パンドラに、授け持たせた、小箱のことだよ。
サトシ この贈り物は、開け放ったら、いけなかった?
マサシ 災い全てが、入っていると、忠告されたのに、
抑え切れない、興味に負けて、開封したのさ。
サトシ いつか必ず、良くは飽くと、忠告されたのに、
人類は、欲を持って、同じ過ちを犯した訳か。
マサシ その結果、あらゆる災いが、大地に飛び出し、
箱の中には、希望だけが、残されていたのさ。
サトシ なるほど、この地は、絶望的な場所だけど、
人類は、希望を持って、生きれば良いんだね。
マサシ いや、そう捉えると、また、忠告を受けるよ。
サトシ ……………………
CASE 絶望なき希望 と 希望なき絶望
サトミ 希望と絶望、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲に仕える、希望って、どういうものかな?
メグミ 希望とは、徳を削らして、欲を増やすことよ。
サトミ 欲に支える、絶望って、どういうものかな?
メグミ 絶望とは、欲を減らして、徳を殖やすことよ。
サトミ 希望を望み、絶望に臨まないと、どうなるの?
メグミ 絶望なき希望なんて、唯の非望に過ぎないよ。
サトミ じゃ、欲に仕えるほど、徳が溶けていくの?
メグミ そうよ、徳が無くなると、欲は適わなくなる。
サトミ 絶望を望み、希望に臨まないと、どうなるの?
メグミ 希望なき絶望なんて、只の怨望に過ぎないよ。
サトミ じゃ、欲に支えるほど、欲が隠れていくの?
メグミ でもね、欲が叶わないと、欲が燻ってしまう。
サトミ 希望だけでは、徳が無くて、何も適わない。
絶望ばかりでは、欲が残って、何も諦めない。
メグミ うん、希望と絶望、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、絶望を究め、希望を極めていくの?
メグミ そうなの、希望を超え、絶望を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 深淵 の裏に 叡智
マナミ ねぇ、アビス、深淵って、どういうものなの?
マサシ 深淵は、第三の目に隠れる、仕掛けのことさ。
マナミ じゃ、ダアト、叡智って、どういうものなの?
マサシ 叡智は、第三の目に現れる、目覚めのことさ。
マナミ そもそも、第三の目って、どういうものなの?
マサシ 額の部分に、開かれる、チャクラのことだよ。
マナミ 額の車輪、その作用って、どういうものなの?
マサシ どんな、願望も適える、という、能力なのさ。
マナミ その力で、望みを適えると、どうなるのかな?
マサシ 第三の目が、悪魔の目として、開かれるのさ。
マナミ その力で、臨みを叶えると、どうなるのかな?
マサシ 第三の目が、神様の目として、啓かれるのさ。
マナミ 何もかも、思いのままに、適えられるときに、
望まないで、在りのままに、臨もうとするの?
マサシ そうだよ、神の許に還るには、それしかない。
マナミ やっと、何でも適うように、なったときに、
わざわざ、こんな試練が、仕掛けられるのね。
マサシ そうさ、引っ掛かった、自覚さえない深淵さ。
全て適い、自分は神だと、思って憚らないよ。
マナミ ……………………!!
CASE 深淵 の先に 叡智
サトミ 額に隠れる、深淵って、どういうものかな?
メグミ 深淵とは、神と人を隔す、仕掛けのことだよ。
サトミ 額に現れる、叡智って、どういうものかな?
メグミ 叡智とは、人が神に為る、目覚めのことだよ。
サトミ 深淵よりも、下の部位には、何が有るのかな?
メグミ 善悪に塗れる、人間の世界が、存在するのよ。
サトミ 深淵よりも、上の部位には、何が有るのかな?
メグミ 善悪を越える、神様の世界が、存在するのよ。
サトミ セフィロト、生命の大樹を、昇っていくと、
人の世界から、神様の世界に、入っていくの?
メグミ 神の国の前には、深い淵が、横たわっていて、
神と等しく、人が成ることを、阻んでいるよ。
サトミ 善悪を抱えて、深淵に挑んだら、どうなるの?
メグミ 善悪を越えるように、善悪が引っ繰り返るよ。
サトミ じゃ、善が悪に変わり、悪が善に換わるから、
自分が、信じ続けた善に、裏切られちゃうの?
メグミ うん、絶望のどん底で、我を手放すしかない。
サトミ 今まで、積み重ねた善が、全て無駄になるの?
メグミ うん、善でも悪でもね、総て邪魔になるだけ。
サトミ ……………………
CASE 深淵 という 叡智
サトシ 叡智を隠す、深淵って、どういうものかな?
アツシ 深淵とは、叡智が匿れる、深い意のことだな。
サトシ 深淵に潜む、叡智って、どういうものかな?
アツシ 叡智とは、深淵に伏する、神の意のことだな。
サトシ つまり、我が深層から、神の真相に入るには、
必ず、深淵を乗り越える、必要が有るのかな?
アツシ そうだ、我と神の間に、深淵が広がっている。
そこでは、誰にも頼れず、独り神と対峙する。
サトシ 神には、言い訳や隠し事は、通用しないの?
アツシ ああ、他を裁いたように、自らが裁かれて、
善悪が、引っ繰り返り、悔い改めるしかない。
サトシ このとき、未知の善悪は、必要が無いのかな。
つまり、知らないから、悟れないことはない?
アツシ 無い、悔い改める材料は、十分に揃っている。
無知を、言い訳にする限り、決して悟れない。
サトシ それなら、機は熟していると、覚悟する訳か。
アツシ そうだ、知識を諦めたとき、知恵に変わる。
サトシ なるほど、後学のために、良い事を聞けたよ。
アツシ そうやって、言い訳するな、もう覚悟しろよ。
サトシ ……………………
CASE 叡智なき深淵 と 深淵なき叡智
サトミ 深淵と叡智、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我に嵌まる、深淵って、どういうものかな?
メグミ 深淵とは、自我を通して、真実を覗くことよ。
サトミ 神に填まる、叡智って、どういうものかな?
メグミ 叡智とは、自我を透して、真実に臨むことよ。
サトミ 深淵を望み、叡智に臨まないと、どうなるの?
メグミ 叡智なき深淵なんて、唯の奸智に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我に嵌るだけで、神に填らないのかな?
メグミ そうよ、神に臨まないと、智を研けないのよ。
サトミ 叡智を望み、深淵に臨まないと、どうなるの?
メグミ 深淵なき叡智なんて、只の小智に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神に填るだけで、我に嵌らないのかな?
メグミ そうよ、我が望まないと、智を磨けないのよ。
サトミ 深淵だけでは、我を覗いて、闇に被われる。
叡智ばかりでは、我を除いて、光に覆われる。
メグミ うん、深淵と叡智、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、叡智を究め、深淵を極めていくの?
メグミ そうなの、深淵を超え、叡智を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 堕天使の目 と 創造主の目
サトシ 額にある、第三の目って、どういうものかな?
アツシ 深淵に、隠されている、神の真意のことだな。
サトシ どうして、このセフィラ、明示されてないの?
アツシ 取り違えて、両極に別れる、罠が有るからだ。
サトシ 判断が別れる、仕掛けは、どういうものなの?
アツシ 積み重ねた、善と悪が、引っ繰り返ることだ。
サトシ 善が悪になり、悪が善になると、どうなるの?
アツシ 欲を越えて、創造主の目が、啓くことになる。
サトシ 善が善になり、悪が悪になると、どうなるの?
アツシ 欲が適って、堕天使の目が、開くことになる。
サトシ これって、どう考えても、逆様だと思うけど。
善には善を、適えるものが、神様だと思うよ。
アツシ そうだ、普通は、そう考えて、改心を逃す。
結果、天人は、魔の目を開いて、慢心を抱く。
サトシ つまり、神に成ったようで、魔に為っただけ?
アツシ ああ、実際は、深淵から、逃げ出しただけだ。
サトシ そっか、何でも、適うから、気づかない訳か。
でも、ちょっと待ってよ、この方が良くない?
アツシ ほらな、こうなるから、暗示するだけなんだ。
サトシ ……………………
CASE プ ロ ビ デ ン ス の 目
サトシ プロビデンス、摂理って、どういうものかな?
マサシ 摂理とは、神の御心で起る、ということだよ。
サトシ 神の摂理を、目で表わすのは、どうしてなの?
マサシ 創造主は、全てを見ている、ということだよ。
サトシ この世界に、神の目を免れる、ものはないの?
マサシ そうだよ、総て神の計画に、組み込まれるよ。
サトシ じゃあ、一ドル紙幣とか、色々なところに、
この目が、描かれるのって、どういう訳かな?
マサシ それは、神様の代理人を、自負するものが、
仕掛けが、進行中であると、誇示するためさ。
サトシ それは、気づける者だけ、気づけば良いと、
代理人が、遊び半分に、計画を漏しているの?
マサシ そう見ると、遊び半分の、領域を出られない。
陰謀論と、反陰謀論に、巻き込まれるだけさ。
サトシ すると、この目には、深い意味が有るのかな?
マサシ この世で、神の目から、逃れられる者は無い。
たとえ、魔を介して、描かれた目であろうと。
サトシ 代理人の、支配を含め、神の計画だったの?
マサシ そうさ、そう見えるとき、君も神の目になる。
サトシ ……………………!!