第五章 第四八話 対話編
CASE 左脳 の裏に 右脳
マナミ ねぇ、ビナー、左脳は、どういうものなの?
マサシ 左脳は、識別を司り、右半身を支配するのさ。
マナミ 寛容の柱、右半身って、どういうものなの?
マサシ 思いのまま、人の勝利を、表わす仕組なのさ。
マナミ じゃ、コクマ、右脳は、どういうものなの?
マサシ 右脳は、直観を司り、左半身を支配するのさ。
マナミ 峻厳の柱、左半身って、どういうものなの?
マサシ 在りのまま、神の栄光を、現わす仕組なのさ。
マナミ 左と右が、入れ替わるのは、どうしてなの?
マサシ 頭の三つと、体の七つの、セフィラの間には、
すべてを、逆転させる、深淵が横切るからさ。
マナミ 深淵である、アビスには、何が潜んでいるの?
マサシ 神の真意、ダアトたる、叡智が隠れているよ。
マナミ つまり、知恵の実を食べ、善悪を修めたけど、
最終的に、深淵を渡る時に、引っ繰り返るの?
マサシ 善が悪に映り、悪が善に移る、狂気の中で、
自らが、積み重ねた善悪で、自らが裁かれる。
マナミ 絶望して、我を捧げた者のみ、神性を見るの?
マサシ そうさ、生命の樹を登って、永遠の命を得る。
マナミ ……………………!!
CASE 左脳 と 頭頂 と 右脳
サトシ 神の世界、至高の三角形は、どういうもの?
マサシ 頭頂と左脳と右脳、この三つで作る三角形さ。
サトシ つまり、セフィロトを、人体に喩えているの?
マサシ 奥を向く、人体に喩えて、秘儀を明かすのさ。
サトシ 頭頂にある、ケテルは、どういうものかな?
マサシ ケテルは、均衡の柱、その頂のセフィラだよ。
サトシ 左脳にある、ビナーは、どういうものかな?
マサシ ビナーは、峻厳の柱、その頂のセフィラだよ。
サトシ 右脳にある、コクマは、どういうものかな?
マサシ コクマは、寛容の柱、その頂のセフィラだよ。
サトシ 人体は、左脳って、右半身を支配しているし、
一方、右脳って、左半身を支配しているよね。
マサシ そうさ、それこそ、生命の樹の秘密なのさ。
サトシ 人の世と、神の世は、左右が反転するのかな?
マサシ 神界に、入って行く際、善悪が引っ繰り返る。
サトシ とすると、人界で培った、善悪に囚われたら、
いつまでも、神の世界には、還れないのかな?
マサシ そうだよ、捕らわれたら、叡智は現れないよ。
深淵という、闇の先にこそ、知恵が実るのさ。
サトシ ……………………!!
CASE 右脳なき左脳 と 左脳なき右脳
サトミ 左脳と右脳、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 識別を司る、左脳って、どういうものかな?
メグミ 左脳とは、右半身を司る、知恵の実のことよ。
サトミ 直観を司る、右脳って、どういうものかな?
メグミ 右脳とは、左半身を司る、知恵の実のことよ。
サトミ 左脳を望み、右脳に臨まないと、どうなるの?
メグミ 右脳なき左脳なんて、唯の理屈に過ぎないよ。
サトミ じゃ、分けるばかりで、捕われてしまうの?
メグミ そうよ、悟ってないから、偏屈を通すだけよ。
サトミ 右脳を望み、左脳に臨まないと、どうなるの?
メグミ 左脳なき右脳なんて、只の直情に過ぎないよ。
サトミ じゃ、合せるばかりで、囚われてしまうの?
メグミ そうよ、解ってないから、感情を徹すだけよ。
サトミ 左脳だけでは、悟れなくて、解っていない。
右脳ばかりでは、解らなくて、悟っていない。
メグミ うん、左脳と右脳、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、右脳を介し、左脳を解していくの?
メグミ そうなの、左脳を超え、右脳を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 母性 と 神性 と 父性
サトシ 中央の柱、均衡の柱は、どういうものかな?
アツシ 均衡の柱は、神性を司る、人性の道のことだ。
サトシ 左側の柱、峻厳の柱は、どういうものかな?
アツシ 峻厳の柱は、父性を司る、女性の道のことだ。
サトシ 右側の柱、寛容の柱は、どういうものかな?
アツシ 寛容の柱は、母性を司る、男性の道のことだ。
サトシ 研き上げると、女性原理は、父性になるし、
磨き上げるほど、男性原理は、母性になるの?
アツシ そうだ、女性と男性の原理、どちらも使って、
人間性を、高めていくと、神性に至るわけだ。
サトシ う~ん、どう考えても、逆様じゃないのかな。
通常なら、女性が母性に、男性が父性になる。
アツシ そうだ、人の世界では、そうなるのが普通だ。
サトシ それなら、神の世界では、逆の方が正しいの?
アツシ いいや、逆こそ正しい、という訳ではない。
神界では、善も悪もない、これこそ真実だな。
サトシ 深淵を渡り、神様を望んで、還りたければ、
人界の分別は、逆様に臨んで、疑うべきなの?
アツシ 確かにそうだが、それさえ、人から見た話だ。
サトシ ……………………!!