第五章 第四九話 対話編
CASE 生命 の裏に 邪悪
マナミ セフィロト、生命の樹って、どういうもの?
マサシ 生命の樹とは、神に至る道を、標すものだよ。
マナミ 神への道は、何から始まり、何に終わるの?
マサシ 物質世界から、昇り始め、唯神論に終わるよ。
マナミ クリフォト、邪悪の樹って、どういうもの?
マサシ 邪悪の樹とは、魔に到る道を、示すものだよ。
マナミ 魔への道は、何から始まり、何に終わるの?
マサシ 物質世界から、堕ち始め、無神論に終わるよ。
マナミ そうすると、この世は、物質の世界だから、
物質界を、どう捕えるか、それが鍵になるの?
マサシ そうさ、見えるものを、どう捉えるのかだよ。
マナミ 物の中に、型を認めると、どうなるのかな?
マサシ 世界の間に、和を見とめて、神に誘われるよ。
マナミ 物の外に、形を認めると、どうなるのかな?
マサシ 世界の間に、差を見とめて、魔に導かれるよ。
マナミ 我が間に、和を認めるか、差を認めるかなの?
マサシ 神を見るか、魔を見るのか、この差なんだよ。
マナミ 差ばかり、捕らえたから、ここまで来たの?
マサシ 和だけ、捉えていたら、ここまで来れないよ。
マナミ ……………………
CASE 生命 の先に 邪悪
サトミ 命を実らす、生命って、どういうものかな?
メグミ 生命とは、知恵を実らせ、神に至る道なのよ。
サトミ 知恵を研き、生命を磨くと、どうなるのかな?
メグミ これも良いし、あれも良いと、全て認めるよ。
サトミ 自らの生命、在りのままを、見とめられるの?
メグミ 究極的に、全ての生命を、認めてしまうのよ。
サトミ 命を腐らす、邪悪って、どういうものかな?
メグミ 邪悪とは、知恵を腐らせ、魔に到る道なのよ。
サトミ 知恵を怠り、生命を惰ると、どうなるのかな?
メグミ これも悪いし、あれも悪いと、総て認めない。
サトミ 周りの生命、在りのままを、見とめられない?
メグミ 終極的に、自らの生命も、認めなくなるのよ。
サトミ つまり、分別が生じて、善悪に分けたけど、
最終的に、分別を超えて、善悪を合わせるの?
メグミ そうよ、善悪を越えるなら、神様に逢うし、
その逆に、善悪に囚われると、悪魔に遭うよ。
サトミ 善悪を、捉えはするけれど、捕われはしない。
どうやら、不連続な点が、道に潜んでいるね。
メグミ その深淵に、神様の真意が、隠されているよ。
サトミ ……………………!!
CASE 生命 という 邪悪
サトシ 神を宿せる、生命って、どういうものかな?
アツシ 生命とは、命を活かして、神に近づくことだ。
サトシ どうすると、魔を負かして、命を果たすの?
アツシ 何であれ、神に任かせて、受け容れることだ。
サトシ これも良い、あれも良いと、差を造らないの?
アツシ 我と神に、魔が入らずに、永遠の命が蘇える。
サトシ 神を隔てる、邪悪って、どういうものかな?
アツシ 邪悪とは、命を生かさず、神を離れることだ。
サトシ どうすると、神を負かして、命が果てるの?
アツシ 何であれ、魔に任かせて、切り捨てることだ。
サトシ これは善い、あれは悪いと、差を作るのかな?
アツシ 我と神に、魔が入るから、刹那の命が連なる。
サトシ つまり、感謝を抱けば、生命が活かされて、
その逆に、怨嗟を喚けば、生命が損われるの?
アツシ 和を捉えて、神に近いほど、然り気なくなり、
差に捕われて、魔に近いほど、物々しくなる。
サトシ 心を捉えて、神を捕えれば、同じに見えるし、
物質を捕えて、魔を捉えれば、違って見える。
アツシ そんな訳で、神に任かせて、受け容れてみろ。
サトシ ……………………!!
CASE 邪悪なき生命 と 生命なき邪悪
サトミ 生命と邪悪、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 命を生かす、生命って、どういうものかな?
メグミ 生命とは、命を者と見て、神に至る道なのよ。
サトミ 命を絶やす、邪悪って、どういうものかな?
メグミ 邪悪とは、命を物と見て、魔に到る道なのよ。
サトミ 生命を望み、邪悪に臨まないと、どうなるの?
メグミ 邪悪なき生命なんて、中津の国に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命を生かすだけ、命を絶やさないの?
メグミ そうよ、命を試さないと、命が活きないのよ。
サトミ 邪悪を望み、生命に臨まないと、どうなるの?
メグミ 生命なき邪悪なんて、黄泉の国に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命を絶やすだけ、命を生かさないの?
メグミ そうよ、命を産まないと、命が活きないのよ。
サトミ 生命だけでは、養なわれず、愚かになるし、
邪悪ばかりでは、育てられず、鈍らになるの?
メグミ うん、生命と邪悪、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、邪悪を負い、生命を追っていくの?
メグミ そうなの、生命を究め、邪悪を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 生 命 の 樹
サトシ あのね、生命の樹って、どういうものかな?
マサシ それはね、人の世界から、神様の世界にまで、
人類が、向上していく、道を示したものだよ。
サトシ 魂の進化、その中心には、何が在るのかな?
マサシ 美に関わる、セフィラーが、存在しているよ。
サトシ それじゃ、美の本質って、どういうものかな?
マサシ この生命を、肯定すること、感謝することさ。
サトシ 命の中に、神を探すには、どうするのかな?
マサシ 自らの命を、活かすことを、望めば良いのさ。
サトシ とすると、優れなくても、活かしていれば、
魔が遠のき、神に近づいて、美しく見えるの?
マサシ 縦しんば、人々から見て、美しくなくても、
素直ならば、神様から見て、美しいものだよ。
サトシ それなら、神様を望んで、美に囚われると、
頑固になり、悪魔に臨んで、醜く映るわけか。
マサシ そうだよ、素直に成れば、神に近づくけど、
自らの、美醜に捕われれば、神は遠のくのさ。
サトシ 結局、深淵を越えるには、どうするのかな?
マサシ 諦めて、素直に成れば、神に導かれていくよ。
サトシ ……………………!!
CASE 邪 悪 の 樹
サトシ あのね、邪悪の樹って、どういうものかな?
マサシ それはね、人の世界から、悪魔の世界にまで、
人類が、堕落していく、道を示したものだよ。
サトシ 魂の退化、その中心には、何が在るのかな?
マサシ 醜に関わる、セフィラーが、存在しているよ。
サトシ それじゃ、醜の本質って、どういうものかな?
マサシ この生命を、否定すること、怨嗟することさ。
サトシ 命の中に、魔を探すには、どうするのかな?
マサシ 他の命より、選れることを、望めば良いのさ。
サトシ とすると、優れていても、選れたいならば、
神が遠のき、魔に近づいて、醜く見えるわけ?
マサシ 縦しんば、人々から見て、良くなろうとも、
頑固ならば、神様から見て、良くならないよ。
サトシ それなら、神様を望んで、善に囚われると、
頑固になり、悪魔に臨んで、悪に移るわけか。
マサシ そうだよ、素直に成れば、神に近づくけど、
自らの、善悪に捕われれば、神は遠のくのさ。
サトシ 結局、深淵に嵌まるには、どうするのかな?
マサシ 諦めず、頑固に為れば、魔に誘われていくよ。
サトシ ……………………
CASE 無 と 限 と 光
マナミ ねぇ、アイン、無って、どういうものなの?
マサシ 無とは、何でもないから、何でもなるものさ。
マナミ それなら、ソフ、限は、どういうものなの?
マサシ 限とは、壁を作って、光と陰に分けることさ。
マナミ じゃ、アウル、光って、どういうものなの?
マサシ 光とは、壁に当たるまで、広がり渡るものさ。
マナミ じゃ、アイン・ソフは、どういうことなの?
マサシ 限界が無いこと、だから、無限ということさ。
マナミ アイン・ソフ・アウルって、どういうこと?
マサシ 無限に光ること、だから、無限光のことだよ。
マナミ 何もないけど、何にもなる、空を分けていき、
空の器を創ると、無限の物が、生まれて来る。
マサシ 壁が有るから、影も生じる、有限の光だけど、
その根源は、無限だから、無限に湧き続ける。
マナミ ここは、有限の意識が、無限に想像を重ね、
それゆえ、無限の意味が、創造される世界ね。
マサシ そうさ、無限の想像が、許されている世界さ。
マナミ こういう、創造の世界に、住んでいたわけね。
マサシ それも、ある想像の世界に、過ぎないかもね。
マナミ ……………………!!
CASE 黄 泉 比 良 坂
サトシ あのね、黄泉比良坂は、どういうものかな?
マサシ それはね、現世と黄泉を、別ける坂のことさ。
サトシ 生者が暮す、現世って、どういうところかな?
マサシ 神が宿り、生命を頂いた、この世のことだよ。
サトシ 死者が暮す、黄泉って、どういうところかな?
マサシ 神が去り、生命を損った、あの世のことだよ。
サトシ イザナギが、岩で塞ぐのは、どうしてかな?
マサシ それはね、現世に生まれ、黄泉に死ぬまでに、
生を活かす、間を作るため、道を塞いだのさ。
サトシ 一日に、千人を殺すと、イザナミは言って、
一日、千五百人を産むと、イザナギは言った。
マサシ 完全に、別れた訳ではなく、猶予になるから、
生と死が、入れ替わり続ける、輪廻になるよ。
サトシ じゃあ、その短い間の中で、神を悟るわけか。
マサシ うん、神を悟らない限り、行き来してしまう。
サトシ じゃあ、何が解ったら、神意を悟れるのかな?
マサシ 愛しい人を、醜いなんて、言わないことだよ。
サトシ どんな姿でも、美しいって、言えばいいのか。
マサシ それが解るまで、夫婦喧嘩は、続いてしまう。
サトシ ……………………!!
CASE 在家 の裏に 出家
マナミ 二元を巡る、在家って、どういうものなの?
マサシ 在家とは、自我を持って、知恵を磨くことさ。
マナミ 一元に還る、出家って、どういうものなの?
マサシ 出家とは、自我を越えて、神殿に還ることさ。
マナミ どうすれば、神の家に、還ることが出来るの?
マサシ 否定と固定と肯定の、三種類が存在するのさ。
マナミ 二元を否定して、一元に還ると、どうなるの?
マサシ アイン、何もない、無の世界まで、還るのさ。
マナミ 二元を固定して、一元に還ると、どうなるの?
マサシ ソフ、我しかない、限界の世界に、還るのさ。
マナミ 二元を肯定して、一元に還ると、どうなるの?
マサシ アウル、全てある、光の世界まで、還るのさ。
マナミ 神の創造を否定して、アイン、無になるし、
神の創造を肯定すると、アウル、光になるの?
マサシ 神の創造を固定する、自我を否定してみなよ。
マナミ 限界を否定して、アイン・ソフ、無限になる。
マサシ 我の限界を否定する、無限を肯定してみなよ。
マナミ すると、アイン・ソフ・オウル、無限光だね。
マサシ 知恵を磨くほど、無から、無限光になるのさ。
マナミ ……………………!!