物語編
第五章 第五五話 概念編
第五章 ラマダーン
第五五回 喜捨 の裏に 断食
喜捨は、我が楽を与え、他を楽にすること
断食とは、我が楽を断ち、我を苦にすること
喜捨は、我が与えることで、人の苦しみを思い
断食では、我が苦しむことで、人の悲しみを想う
畢竟、断食なき喜捨は、何も与えていない
たとえ、与えようと、我が苦に臨まないなら
自からが、楽しむため、与えているに過ぎない
苦しむ者と、並んでこそ、神聖なる喜捨に変わる
必竟、喜捨なき断食は、何も断っていない
たとえ、飢えようと、他の楽を望まないなら
自からが、楽しむため、飢えているに過ぎない
苦しむ者を、助けてこそ、真正なる断食に変わる
ラマダーンとは、神の教えが下ろされた月
喜捨や断食を行い、地を天の姿に変えていく
誇るため財を施すのは、余っているだけであり
貪るために食を断つのは、酔っているだけである