物語編
第五章 第五九話 物語編
第五章 聖戦 と 克己
第五九話 外の敵と戦う と 内の仇と闘う
選ばれし精鋭を睥睨しつつ、智徳は、静かに叫んだ。
「神のために死ねば、天に生まれると思うたか。
そんな道理はない、獄を抱いて、罪を浄めるのみ。
もとより、天か獄か、その分別は、我がためのもの。」
「深遠にして神速、この森厳なる道を歩めるか。
各々が神と直々に繋がり、神との合一を果たす道。
何人も助けて呉れはしない、神に委ねて我を越えよ。」
彼らは、明かにされた天命に、無言のまま肯いた。
瞬間、人類の命運が委ねられて、未来が明かされる。
「これより、君たちは、故郷を追われるだろう。
しかし、如何なる、迫害に遭おうと、敵を怨むな。
彼らさえ、神の意に、従がうものだと、受け容れよ。」
「これから、君たちは、試練に導かれるだろう。
しかし、如何なる、障害に遇おうと、神を恨むな。
其れさえ、我が意で、選んだことだと、乗り越えよ。」
「忘れるな、神は、君たちを、見捨てはしない。
最後の日まで、耐え忍ぶものは、必ずや救われる。
失われた意味が、悉く甦る刻、その審判の日を待て。」