物語編
第五章 第六十話 物語編
第五章 最善 と 最悪
第六十話 善と悪の分別 と 善と善の決別
智徳が、弟子を率いて、死地に赴こうとすると、
彼を呼ぶ、懐かしい声が、後ろから聞こえてきた。
真理だった、もう二度と会えないと、思っていたが。
「真理よ、貴女が守るのは、こちら側ではない。」
[ええ、扉を出て行く時、笑っていなかったから。
どんなに、必死になっても、あのことは忘れないで。]
[たとえ、敵味方に別れても、貴方の傍に居る。
私は、真の入り口、此処に残り、真理を宿すから、
貴方は、貴い日の光、何時か蘇り、真実を明かして。]
そう言うと、彼女は、私の心魂まで抱き締めた。
彼女から、体温と共に、真理の胎動が伝って来る。
そうか、真理は必ず甦る、何を案ずることがあろう。
[一見、不条理に見えても、今まで起きたこと、
すべてが、貴方のために、起こったと考え直して。
そうすれば、全てが繋がり、敵も味方も無くなるわ。]
[ねえ、御兄さんは、どうして、泣いているの?]
「いやね、御姉さんが、このまま、年を取ったら、
素敵な、御婆さんに、なるんだなと、思ったからさ。」
すうっと、真理の目から、一筋涙が零れ落ちた。
最後の最後に、意表を突くかな、彼女は涙ぐんだ。
そして、好きになっちゃうと、素敵な笑顔を浮べた。