第五章 第五十話 対話編
CASE 仕組 の裏に 仕掛
マナミ 神の道を辿る、仕組は、どういうものなの?
マサシ 仕組みとは、神に仕えて、我を忘れることさ。
マナミ どうして、神を支えるほど、我を忘れるの?
マサシ 神に臨んで、善と悪を考える、暇が無いのさ。
マナミ 何も考えずに、神の計画に、務めているの?
マサシ 我を忘れて、神を覚えるから、道を進むのさ。
マナミ 神の道に躓く、仕掛は、どういうものなの?
マサシ 仕掛けとは、我に仕えて、神を忘れることさ。
マナミ どうして、我に支えるほど、神を忘れるの?
マサシ 我が望んで、神の意を考える、暇が無いのさ。
マナミ 良くを考えて、我が計画に、努めているの?
マサシ 善を捉えて、悪に捕らわれて、道に躓くのさ。
マナミ それなら、自分では、神の為と考えていても、
実際は、神様を騙った、我が為の事もあるの?
マサシ そうだよ、悪意を持って、神を騙るときも、
たとえ、善意を以って、神を語るときもだよ。
マナミ どれだけ、誠意を持って、神を考えていても、
思い掛けず、躓くだけなら、どうすべきなの?
マサシ 簡単だよ、何が起きても、神に感謝するのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 仕組 の先に 仕掛
サトミ 道理を創る、仕組って、どういうものかな?
メグミ 仕組とは、論理を解して、理を辿ることだよ。
サトミ 在りのまま、論を辿るほど、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、我が弱くなり、神が強くなるのよ。
サトミ じゃあ、神を知るため、論を登り詰めるの?
メグミ そうだよ、我が壊されて、神が現れて来るよ。
サトミ 道理を作る、仕掛って、どういうものかな?
メグミ 仕掛とは、論理を介して、理を組むことだよ。
サトミ 思いのまま、論を組むほど、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、我が強くなり、神が弱くなるのよ。
サトミ じゃあ、我を守るため、論を組み立てるの?
メグミ そうだよ、我が作られて、神が消えて行くよ。
サトミ つまり、神の言葉とは、理に他ならないけど、
仕組に使うか、仕掛に遣うかは、人次第なの?
メグミ うん、神に仕えるなら、我を越えていくし、
反対に、我に支えるなら、神を汚していくよ。
サトミ 神の言を、使いながら、神を穢すこともある。
う~ん、仕組まれた仕掛、これに魔を感じる。
メグミ うん、仕掛られた仕組、これに神を観じるね。
サトミ ……………………!!
CASE 仕掛なき仕組 と 仕組なき仕掛
サトミ 仕組と仕掛、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 神に近づく、仕組って、どういうものかな?
メグミ 仕組とは、論理を辿って、神に仕えることよ。
サトミ 神を離れる、仕掛って、どういうものかな?
メグミ 仕掛とは、理屈を捏ねて、我に支えることよ。
サトミ 仕組を望み、仕掛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 仕掛なき仕組なんて、唯の仕度に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神に仕えるだけ、我に支えないのかな?
メグミ そうよ、掃き清められた、道を辿るだけだよ。
サトミ 仕掛を望み、仕組に臨まないと、どうなるの?
メグミ 仕組なき仕掛なんて、只の仕業に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我に支えるだけ、神に仕えないのかな?
メグミ そうよ、踏み荒らされた、道に躓くだけだよ。
サトミ 仕組だけでは、進めるけど、広がらないし、
仕掛ばかりでは、広がるけど、進めないのね。
メグミ うん、仕組と仕掛、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、仕掛を解し、仕組を介していくの?
メグミ そうなの、仕組を超え、仕掛を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 忠 義 者 ペ テ ロ
サトシ どうして、ペテロは、激高しやすいのかな?
マサシ 自分の、正義を疑えないと、自我が暴走する。
サトシ 感情から、後押しされて、自省が出来ないの?
マサシ そうさ、慢心するほど、神の道に躓きやすい。
サトシ どうして、ペテロは、イエスを引き留めたの?
マサシ たとえ、イエスが、使命を果せなくなっても、
処刑されるのは、善くないと、考えたからさ。
サトシ どうして、ペテロは、裏切らないと言ったの?
マサシ たとえ、他の者が、イエスを裏切ろうとも、
自分の信仰心は、悪くないと、考えたからさ。
サトシ つまり、自身に慢心して、善悪に捕われると、
結果的に、神の道を外れる、仕掛けがあるの?
マサシ そうさ、悔い改めるまで、この仕掛けは続く。
サトシ 実際、イエスのことなんか、知らないって、
三度も、言わされるまで、気づけなかったね。
マサシ うん、三度も裏切って、漸く彼は悔い改めた。
サトシ じゃあ、善悪なんて、囚われない方が良いね。
有り難く、受け止めて、謙虚になる方が良い。
マサシ そうさ、神を騙る我ほど、性質が悪いからね。
サトシ ……………………!!
CASE 裏 切 者 ユ ダ
サトシ どうして、ユダって、イエスを裏切ったの?
マサシ ユダは、裏切ってない、使命を果しただけさ。
サトシ そうかな、ユダって、イエスを売り渡したよ。
マサシ 神の計画は、イエスを、十字架に掛けること。
御心に従って、裏切者を、演じただけなのさ。
サトシ そんな、積もり無いよ、金が欲しかっただけ。
たまたま、神様の計画に、合致していたんだ。
マサシ 実を言えば、故意だろうが、恣意だろうが、
神から見れば、人々の善悪は、関係ないのさ。
サトシ そうすると、たとえ、善意から行っていても、
その欲が、神の計画に、逆らうこともあるの?
マサシ むしろ、善を行っている、という、慢こそが、
人を、神の計画に躓かせる、因と為っている。
サトシ つまり、神に仕えるつもりで、魔に使われる?
マサシ そうだよ、神様の邪魔している、だけなのさ。
サトシ う~ん、もう、何が神の意か、解からないよ。
マサシ すべてに、感謝していれば、考えなくて良い。
サトシ やだよ、神様に逆らって、大罪を犯しちゃう。
マサシ それなら、自己の責として、良く考えるのさ。
サトシ ……………………
CASE 忠義者 という 裏切者
サトミ イエスは、弟子達に、どのように言ったの?
メグミ 神の御心に、従うため、私は十字架に掛かる。
サトミ このとき、ペテロは、どのように言ったの?
メグミ 我が思いを、神の想いよりも、重んじたから、
どうか、そうしないで下さいと、言ったのよ。
サトミ イエスは、ペテロに向って、何て言ったの?
メグミ 神の御心を、邪魔するなって、言い放ったの。
サトミ このとき、ユダって、どのように考えたの?
メグミ 神の想いを、我が思いよりも、重んじたから、
どうか、そうなさって下さいと、考えたのよ。
サトミ イエスは、ユダに向かって、何て言ったの?
メグミ 自らが、為すべきを成せって、言い放ったの。
サトミ ペテロは、イエスを思って、言っただけよ。
それを、邪魔扱いするなんて、歪んでいるわ。
メグミ 神の心に、背いているから、仕方が無いのよ。
サトミ それに、ユダの考えたことは、分からないわ。
そのまま、お金が欲しくて、売ったんでしょ。
メグミ じゃ、あなたに向かって、このように言うの。
自らが、為すべき事を、成したら良いよって。
サトミ ……………………