第五章 第五一話 対話編
CASE 祖先 の裏に 子孫
マナミ 因なるもの、祖先って、どういうものなの?
マサシ 祖先とは、神を象る型で、子孫の原因なのさ。
マナミ 神に従って、子を愛すると、どうなるのかな?
マサシ 型が歪まずに、神の愛が、子孫に伝わるのさ。
マナミ 神に逆らい、子を愛さないと、どうなるの?
マサシ 型が歪むから、神の愛が、子孫に届かないよ。
マナミ 果なるもの、子孫って、どういうものなの?
マサシ 子孫とは、祖を模る形で、祖先の結果なのさ。
マナミ 型に従って、親を敬まうと、どうなるのかな?
マサシ 形が歪まずに、神の愛が、子孫に伝わるのさ。
マナミ 型に逆らい、親を敬わないと、どうなるの?
マサシ 形が歪むから、神の愛が、子孫に届かないよ。
マナミ 祖先は、我が果を有り難く、愛すべきだし、
子孫らは、我が因を在り難く、敬うべきなの?
マサシ 人類の型は、神の姿に似せ、創造されたけど、
その中に、愛を受け継ぎ、真の人に成るのさ。
マナミ つまり、子孫を愛さないし、祖先を敬わない、
愛の無い、人の体なんて、土の塊に過ぎない?
マサシ そうさ、先祖供養こそ、人類の本質なんだよ。
マナミ ……………………!!
CASE 祖先 の先に 子孫
サトミ 人類の原因、祖先って、どういうものかな?
メグミ 祖先とは、神に創られた、人の型のことだよ。
サトミ 人類の結果、子孫って、どういうものかな?
メグミ 子孫とは、親に作られた、人の形のことだよ。
サトミ 神様が、人類を創ったのは、何のためなの?
メグミ 命を分け、血を繋がせて、知を研かせるのよ。
サトミ 人類の命を、分けて行くと、どうなるのかな?
メグミ 血が別れると、闘争が増えて、血が流れるの。
その一方、使命も殖えて、知が磨かれるのよ。
サトミ 人類の命を、合せていくと、どうなるのかな?
メグミ 血が合さると、紛争が減って、血が流れない。
その一方で、生命も衰えて、知が研かれない。
サトミ つまり、血を分けないと、知が磨けないけど、
一方、血が別れたままだと、血が流れるのね。
メグミ そうよ、親から授かった、血を繋げながら、
共に、神から与かった、愛も伝えるべきなの。
サトミ そっか、知を研くために、血を流し過ぎたら、
伝えるべき、子孫が消えて、元も子も無いね。
メグミ 死なば諸共と、考え出したら、世も末なのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 先 祖 供 養
サトシ あのね、先祖供養って、どういうものかな?
マサシ それはね、血を重んじて、知を伝えることさ。
サトシ 血と知には、どんな関係が、存在しているの?
マサシ 血が別れると、知も分かれる、関係があるよ。
サトシ 血が分かれ、人が増えると、どうなるのかな?
マサシ 人が増えると、知が研かれて、血が流れるよ。
サトシ 血が合さり、人が減るほど、どうなるのかな?
マサシ 人が減るほど、知が磨かれず、血が漏れない。
サトシ つまり、人が増えるほど、知も研かれるけど、
その裏で、我も殖えるから、血が流れやすい。
マサシ そうさ、人数が多ければ、良い訳じゃない。
人に、器が有るように、人類も器が在るのさ。
サトシ 人として、徳を積むには、受け容れるけど、
人類として、徳を積むには、どうするのかな?
マサシ 人として、徳を積むには、果を受け容れて、
人類として、徳を積むには、因を受け容れる。
サトシ なるほど、先祖に感謝すれば、良いんだね。
そして、究極の先祖こそが、神様ってことか。
マサシ 供養はね、先祖を介して、神様まで届くのさ。
サトシ ……………………!!
CASE 子孫なき祖先 と 祖先なき子孫
サトミ 祖先と子孫、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 血が合さる、祖先って、どういうものかな?
メグミ 祖先とは、先祖を遡ると、血が合さることよ。
サトミ 血が別れる、子孫って、どういうものかな?
メグミ 子孫とは、末裔を辿ると、血が別れることよ。
サトミ 祖先を望み、子孫に臨まないと、どうなるの?
メグミ 子孫なき祖先なんて、単体生物に過ぎないよ。
サトミ じゃ、血が別れないと、知が研けないのかな?
メグミ そうよ、知が磨けないと、血が絶えやすいよ。
サトミ 子孫を望み、祖先に臨まないと、どうなるの?
メグミ 祖先なき子孫なんて、群体生物に過ぎないよ。
サトミ じゃ、血が別れるほど、知が研けるのかな?
メグミ そうよ、知は磨けるけど、血が流れやすいよ。
サトミ 祖先だけでは、知が研けず、耐え難くなり、
子孫ばかりでは、血が流れて、絶え易くなる?
メグミ うん、祖先と子孫、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、子孫を追い、祖先を負っていくの?
メグミ そうなの、祖先を介し、子孫を解していくの。
サトミ ……………………!!
CASE ア ブ ラ ハ ム 壱
サトミ 大いなる父、アブラムって、どんな人なの?
メグミ 父なる神から、約束の土地を、授かった人よ。
サトミ 正妻サラとの間に、子が生まれなかったから、
召使ハガルとの間に、児を作ってしまったね。
メグミ その後から、サラにも、子が産まれたから、
召使ハガルと、その児を、追い出してしまう。
サトミ そんなこと、最低じゃない、あたし許せない。
メグミ 父なる神様も、こんな不正は、認めなかった。
サトミ そんなこと、当然じゃない、誰だってそうよ。
メグミ 愛する息子を、生贄にせよと、神は命じたの。
彼は、迷うことなく、神の命に従おうとした。
サトミ ええっ、惑うことなく、我が子を殺したわけ?
メグミ 正確には、自らの最愛を、神様に捧げたから、
正式に、多民族の祖として、子孫を授かった。
サトミ 善かった、寸前の間際で、命は助かったのね。
メグミ 多いなる父、アブラハムに、成るためには、
最善を奉げる、厳しい試練が、必要だったの。
サトミ こんなこと、最悪じゃない、あたし赦せない。
メグミ あなたに、善悪を捧げよとは、言わないから。
サトミ ……………………
CASE ア ブ ラ ハ ム 弐
サトミ 多民族の父、アブラハムは、どんな人なの?
メグミ 父なる神から、約束の土地を、授かった人よ。
サトミ 兄である、イシュマエルは、どんな人なの?
メグミ 召使である、ハガルの子、アラブ人の祖先よ。
サトミ 弟である、イサクって、どんな人なのかな?
メグミ 正妻である、サラとの子、ユダヤ人の祖先よ。
サトミ とすると、約束の地を巡り、争い合っている、
アラブ人と、ユダヤ人は、血縁関係だったの?
メグミ そうだよ、因縁が特に深い、兄弟喧嘩なのよ。
サトミ 最初に、ユダヤ人が、アラブ人を追放したの?
メグミ うん、負い出したから、追い出すことにした。
サトミ 続いて、アラブ人が、ユダヤ人を追放したの?
メグミ うん、負い出したから、追い出すことにした。
サトミ う~ん、どうすれば、この連鎖が止まるかな?
メグミ それはね、共通の先祖、父に倣えば良いの。
父は、最善を捧げたから、神名を授かったの。
サトミ そっか、最善を追ったから、最悪に負われる。
父に倣い、善悪を捧げるなら、喧嘩が終わる?
メグミ うふっ、血は流れたけれど、そろそろでしょ。
サトミ ……………………!!
CASE カ イ ン と ア ベ ル
サトミ アダムの長男、カインって、どういう人なの?
メグミ カインは、農耕を始めて、穀物を作ったのよ。
サトミ 神様に、耕作で獲れた、善いものを奉げたの?
メグミ うん、でも、神様は、喜んでくれなかったの。
サトミ アダムの次男、アベルって、どういう人なの?
メグミ アベルは、遊牧を始めて、家畜を育てたのよ。
サトミ 神様に、牧畜で獲れた、善いものを捧げたの?
メグミ うん、とっても、神様は、歓んでくれたのよ。
サトミ もうっ、弟ばかり、愛すなんて、酷過ぎない?
メグミ うん、兄は妬みから、弟を殺してしまったの。
サトミ 当然よ、兄は悪くない、贔屓する神様が悪い。
メグミ でも、自分の善悪で、神様に訴えるよりも、
神様に、試されるほど、愛されたと考えたら?
サトミ 弟の善は、育もうとして、受け止めたけど、
兄の善悪は、試そうとして、突き返したわけ?
メグミ 弟は未だ、善悪を弁える、段階だったけど、
兄は疾うに、善悪を捧げる、段階だったのよ。
サトミ とすると、実は兄の方が、愛されていたの?
メグミ うふっ、そこは裁かないで、善悪を捧げてね。
サトミ ……………………!!
CASE ソ ド ム と ゴ モ ラ
サトミ 退廃的な町、ソドムって、どういう街なの?
メグミ ソドムは、性に溺れて、業火で焼かれた町よ。
サトミ う~ん、産めよ増やせよ、性は悪くないよね。
どうして、性を遣うだけで、罪が深くなるの?
メグミ 命に繋がる、性を使えば、神に従がうけど、
命を果さない、性を遣えば、神に逆らうのよ。
サトミ そもそも人類に、どのような、使命があるの?
メグミ 自らの意志で、分別を弁え、知恵を研いて、
最終的には、分別を越え、神様に還ることよ。
サトミ 責を取り、知恵を得るなら、性は命になり、
責を取らず、知恵を失うなら、性は罪になる?
メグミ そうだよ、生が産まれない、性に溺れたり、
産まれても、倦むだけになる、性は罪なのよ。
サトミ それだと、厳し過ぎるから、優しく変えてよ。
メグミ ううん、そういう交渉は、全く許されないよ。
最終的に、あなたの分別は、総て捧げるから。
サトミ じゃあ、せめて猶予だけでも、赦して欲しい。
メグミ 解かった、待ちはするけど、振り返らないで。
誰でも、後で悔いた瞬間、罪が確定するから。
サトミ ……………………