物語編
第六章 第五話 物語編
第六章 個我 と 真我
第五話 個に分かれる と 真に合わさる
またか、思えば、いつも、この繰り返しだった。
自らが正しいと思えば、自ずと過ちに嵌っていく。
正しいと断じて、正しかった事など、一度とてない。
確かに、弟子よりも、師の法が正しい筈である。
其れ故に、法徳よりも、智徳は正しくなるはずが、
逆に其れ故、智徳よりも、子羊は正しいことになる。
無論、弟子の方が、師に従わなければ為らない。
自ずと、主に従えば、自ずから彼も順うだろうが、
自ずから、主に背けば、自ずから彼も叛くのだろう。
ああ、神よ、今度も、私の法が間違いと仰せか、
自らを守る道理は、悉く救世主を護る道理となり、
それは、巡り廻って、己を責める道具に成り代わる。
いや、神は、此度は、私の方が正しいと仰ると、
自らを許す言葉は、悉く愛弟子を赦す言葉となり、
それは、巡り回って、我が覆える言質に置き換わる。
カルマだ、何人も、カルマからは逃れられない。
ここに、智徳と法徳、この生粋の人類の型をして、
魚座を通して明かされる、人類の宿業が噴き出した。