第六章 第一話 対話編
CASE 投射 の裏に 反射
マナミ ねぇ、カルマ、業って、どういうものなの?
マサシ 業とは、時空に現われる、因果のことなのさ。
マナミ 繰り返す業、投射業は、どういうものなの?
マサシ 投射業は、時間に表れる、カルマのことだよ。
マナミ どのように、カルマは、時間に現われるの?
マサシ 時間的に、前に報いると、後にも酬いている。
マナミ 例えば、右を選んだら、右を択び易くなるの?
マサシ うん、投射業により、左を選び難くなるのさ。
マナミ 跳ね返す業、反射業は、どういうものなの?
マサシ 反射業は、空間に表れる、カルマのことだよ。
マナミ どのように、カルマは、空間に現われるの?
マサシ 空間的に、他に報いると、我にも酬いられる。
マナミ 例えば、右を選ばすと、右を択び易くなるの?
マサシ うん、反射業により、左を選び難くなるのさ。
マナミ つまり、投射業にしても、反射業にしても、
一旦、傾いたら、傾き続ける、ってことなの?
マサシ そうさ、これこそ、カーマ、欲の正体なのさ。
マナミ じゃ、これって、永遠に、傾き続けられるの?
マサシ 繰り返し、試しているけど、跳ね返ってくる。
マナミ ……………………!!
CASE 投射 の先に 反射
サトミ 表を究める、投射業は、どういうものかな?
メグミ 投射業は、前に報いたら、後も酬いるものよ。
サトミ じゃあ、右を選んだら、右を択び易くなるの?
メグミ うん、我が因により、左を選び難くなるのよ。
サトミ 裏を極める、反射業は、どういうものかな?
メグミ 反射業は、他に報いたら、我に酬われるのよ。
サトミ じゃあ、右を選んだら、左を択び易くなるの?
メグミ うん、他の縁により、右を選び難くなるのよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
メグミ ある人が、財を集めると、どうなると思う?
サトミ 投射により、財を得るほど、財を得たくなる。
メグミ ある処に、財が集まると、どうなると想う?
サトミ 他の所には、財が集まらず、奪われてしまう。
メグミ ある人が、財を蓄えると、どうなると思う?
サトミ 反射により、財を得るほど、財が奪われるよ。
メグミ 投射によって、ある程度、集められるけど、
反射業によって、最終的に、奪われてしまう。
サトミ 器に積める業には、必ず、限界が有るわけね。
メグミ その限界に、繰り返し挑み、跳ね返されるの。
サトミ ……………………!!
CASE 投射 という 反射
サトシ 偏っていく、投射業は、どういうものかな?
アツシ 投射業は、等しいものを、選ばせるものだな。
サトシ 例えば、右を選んだら、右を択んでしまうの?
アツシ 意識的に、慣れたものを、選んでいくわけだ。
サトシ 均していく、反射業は、どういうものかな?
アツシ 反射業は、異なるものを、択ばせるものだな。
サトシ 例えば、右を選んだら、左を択んでしまうの?
アツシ 無意識に、隠れたものを、択ばされるわけだ。
サトシ いつまでも、等しいものを、選べるのかな?
アツシ 我が器に、収まるときは、投射業が表れて、
我が器には、納まらないと、反射業が現れる。
サトシ ということは、我が器に、積めなくなるから、
業を落して、新たに積める、空きを作るわけ?
アツシ 器が小さいと、飽き易いから、小さく偏り、
器が大きいほど、飽き難いから、大きく偏る。
サトシ そっか、器が小さいと、直ぐに飽きるわけか。
アツシ ああ、そんな器には、大きな役は果たせない。
サトシ う~ん、そんな事なら、あんな事しなければ。
アツシ こうして、気にするほど、器は広がらないぞ。
サトシ ……………………!!
CASE 反射なき投射 と 投射なき反射
サトミ 投射と反射、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 縦に進める、投射業は、どういうものかな?
メグミ 投射業は、同じ道を選ぶ、カルマのことだよ。
サトミ 横に広げる、反射業は、どういうものかな?
メグミ 反射業は、違う道を択ぶ、カルマのことだよ。
サトミ 投射を望み、反射に臨まないと、どうなるの?
メグミ 反射なき投射なんて、唯の反復に過ぎないよ。
サトミ じゃ、繰り返すばかり、受け容れないのかな?
メグミ そうよ、他に進まないと、器は広がらないの。
サトミ 反射を望み、投射に臨まないと、どうなるの?
メグミ 投射なき反射なんて、只の報復に過ぎないよ。
サトミ じゃ、遣り返すばかり、突き詰めないのかな?
メグミ そうよ、次に進まないと、器が研かれないよ。
サトミ 投射だけでは、繰り返して、超えられないし、
反射ばかりでは、遣り返して、越えられない。
メグミ うん、投射と反射、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、反射を究め、投射を極めていくの?
メグミ そうなの、投射を超え、反射を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE カ ル マ
サトシ あのね、カルマって、どういうものなのかな?
マサシ カルマは、梵語であり、様々な意味があるよ。
だから、一言では言えず、条件で分けるのさ。
サトシ それなら、理で別けるとき、どうなるのかな?
マサシ 縛っていく、因業という、意味が表われるよ。
サトシ それなら、命で別けるとき、どうなるのかな?
マサシ 宿していく、宿命という、意味が現われるよ。
サトシ それなら、義で別けるとき、どうなるのかな?
マサシ 纏っていく、意義という、意味が表われるよ。
サトシ それなら、役で別けるとき、どうなるのかな?
マサシ 演じていく、自分という、意味が現われるよ。
サトシ すべてに、「いく」という、意味が顕われる。
マサシ カルマとは、「行為」であり、我が意なのさ。
サトシ カルマに、多様なる意味が、含まれるのは、
自我の意に、多彩なる意味が、有るからなの?
マサシ そうだよ、カルマによって、我が作られて、
作られると、我によって、カルマが造られる。
サトシ なるほど、カルマを積めば、我に返るわけか。
マサシ 思いのまま、望みたいのなら、積めばいいよ。
サトシ ……………………!!