物語編
第六章 第十三話 物語編
第六章 暗性 と 動性
第十三話 停滞を司る性 と 流動を司る性
智徳は、深い意識に入って、時計の針を進める。
其処には、同じ日に生まれた、近しい親友がいて、
彼とは、容姿も体格も似ていて、双子と見紛われた。
私と彼には、もう一人、幼馴染の女の子がいた。
小さい時から、いつでも、一緒に遊んでいたため、
この三人は、さながら、兄妹の様に育った仲だった。
純真無垢な幼い頃は、三人に違いは無かったが、
我が芽生え、欲を持ち、分別を身に着けるにつれ、
男と女の違いが有る事を知り、その差に捕らわれた。
初めこそ、その違いを、無意識に隠していたが、
思春期を迎えて、私と彼は逞しく、彼女は柔かく、
外見が変わり始め、互いに意識せざる得なくなった。
共通の遊戯で、無邪気に遊んだ頃が、懐かしい。
自我が育まれる共に、互いの幸福も別れてしまい、
いつの間にか、最善を取り合う、間柄になっていた。
私も彼も狂おしい程、彼女のことが好きだった。
自らの幸福を叶えれば、友の幸福は適えられない。
彼女に対する恋心が、友との間に相克を来していた。