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物語編

第六章 第五話 対話編

CASE 個我 の裏に 真我

 

マナミ アハンカラ、個我って、どういうものなの?
マサシ 個我とは、個に分かれる、小さな我のことさ。
マナミ アートマン、真我って、どういうものなの?
マサシ 真我とは、真に合わさる、大きな我のことさ。
マナミ 我って、別れているの、分かれていないの?
マサシ 捉え方で、変わるからね、どちらでも良いよ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ それなら、僕らのことを、喩えてみようか。
    僕らは、同じ人格だろうか、別人格だろうか。
マナミ そんなの、別人格にしか、見えないけれど。
マサシ それは、同じ次元からしか、見てないからさ。
    上方から、違う次元から、見たらどうだろう?
マナミ それは、もしかすると、私に聞いているの?
マサシ うん、これを読んでいる、君に聴いているよ。
マナミ 確かに、ここからだと、同じ人格に見えるの。
マサシ うん、というよりも、君だけしか居ないはず。
マナミ マサシ、マナミを、演じているだけに見える。
マサシ 次に、その君の隣に、別の人格が現れてくる。
    これが、繰り返されて、真の我に達するのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 個我 の先に 真我

 

サトミ 選り分ける、個我って、どういうものかな?
メグミ 個我とは、個に分かれる、小さな器のことよ。
サトミ どうすると、我が狭まって、小さくなるの?
メグミ 原因にしても、結果にしても、選り分けるの。
サトミ 全て容れる、真我って、どういうものかな?
メグミ 真我とは、個を合わせる、大きな器のことよ。
サトミ どうすると、我が広がって、大きくなるの?
メグミ 結果にしても、原因にしても、受け容れるの。
サトミ それなら、大切な物が、無くなったときに、
    誰かが、盗んだからだと、他の所為にすると?
メグミ 我が内に、因を認めず、器が小さいままだよ。
サトミ 自らが、怠ったからだと、我が責任にすると?
メグミ 我が内に、因を認めて、器が大きくなるのよ。
サトミ 無くなった、その現実を、受け容れないと?
メグミ 我が内に、果を認めず、器が小さいままだよ。
サトミ 無くなった、その事実を、受け容れられると?
メグミ 我が内に、果を認めて、器が大きくなるのよ。
サトミ 本当に、これを認めると、真我が現われるの?
メグミ あら、これを単なる私見と、私の所為にする?
サトミ ……………………

 


 

CASE 個我 という 真我

 

サトシ 個に別れる、個我って、どういうものかな?
アツシ 個我とは、幻想に酔って、我が現れたものだ。
サトシ 真に合さる、真我って、どういうものかな?
アツシ 真我とは、真実に覚めて、我が消えたものだ。
サトシ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
アツシ 元始、この世界には、真我しか無かったが、
    真我が、色々なことを、味わいたいと願った。
サトシ 本来、真実に覚めている、真我が望んだから、
    敢えて、幻想に酔っている、個我を創ったの?
アツシ ああ、幻影を纏うことで、無数の我を造った。
    そして、そのひとつずつに、真我が宿るんだ。
サトシ じゃ、幻が覆っていると、真我に気づかず、
    反対に、幻が晴れていくと、真我に気づくの?
アツシ 幻に酔い、真に覚めると、知恵が磨かれる。
    そして、知恵が具わるほど、真我に気づける。
サトシ 我が中にも、他の中にも、真我が宿っている。
    知恵を磨くと、この真実に、辿り着くんだね。
アツシ そうだ、我を介しながら、真我を解していく。
    それこそ、真我に課された、我々の使命だな。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 真我なき個我 と 個我なき真我

 

サトミ 個我と真我、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 個を演じる、個我って、どういうものかな?
メグミ 個我とは、幻想に酔って、命を演じるものよ。
サトミ 真に奏でる、真我って、どういうものかな?
メグミ 真我とは、真実に覚めて、命を与えるものよ。
サトミ 個我を望み、真我に臨まないと、どうなるの?
メグミ 真我なき個我なんて、演奏者に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命が生まれても、命が決らないのかな?
メグミ そうよ、音を奏でようと、曲に為らないのよ。
サトミ 真我を望み、個我に臨まないと、どうなるの?
メグミ 個我なき真我なんて、指揮者に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命が決まっても、命が生れないのかな?
メグミ そうよ、曲を揮おうとも、音が響かないのよ。
サトミ 個我だけでは、和を招じず、曲に成らない。
    真我ばかりでは、我が生じず、音が鳴らない。
メグミ うん、個我と真我、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、真我を追い、個我を負っていくの?
メグミ そうなの、個我を介し、真我を解していくの。
サトミ ……………………!!

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