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物語編

第六章 第六話 対話編

CASE 梵 の裏に 我

 

マナミ ねぇ、ブラフマン、梵は、どういうものなの?
マサシ 梵とは、大宇宙であり、大きな仕組のことさ。
マナミ 外に向き、梵を究めると、どうなっていくの?
マサシ 前にも有り、後にも在ると、真理に至るのさ。
マナミ どんな物にも、遍在するのが、真理ってこと?
マサシ そうさ、外側に、突き詰めると、真理になる。
マサシ じゃ、アートマン、我は、どういうものなの?
マサシ 我とは、小宇宙であり、小さな仕組のことさ。
マナミ 内に向き、我を極めると、どうなっていくの?
マサシ 我にも在り、他にも有ると、真我に到るのさ。
マナミ どんな者にも、内在するのが、真我ってこと?
マサシ そうさ、内側に、受け容れると、真我になる。
マナミ じゃ、外に突き詰めても、内に受け容れても、
    普遍的に、存在するものに、近づいていくの?
マサシ そうさ、そして、最後に、内と外の壁が残る。
マナミ それなら、内に神を抱いて、外に神を見とめ、
    自分が、どちらに従うか、突き付けられるの?
マサシ いや、結論から言えば、どちらも同じなのさ。
    両者を、分けている、偽の我を捨てたら良い。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 梵 の先に 我

 

サトミ 外に見られる、梵って、どういうものかな?
メグミ 梵とは、意味として、外に顕われるものだよ。
サトミ それって、客体として、外の界にあるもの?
メグミ そうよ、突き詰めるほど、真の理になるのよ。
サトミ それなら、決め付けるほど、偽の理になるの?
メグミ 真の理から、捻じ曲がり、心の理になるのよ。
サトミ 内に見とめる、我って、どういうものかな?
メグミ 我とは、意識として、内に現われるものだよ。
サトミ それって、主体として、内の界にあるもの?
メグミ そうよ、受け容れるほど、真の我になるのよ。
サトミ それなら、切り捨てるほど、偽の我になるの?
メグミ 真の我から、選り分けて、個の我になるのよ。
サトミ とすると、真我から見れば、真理が見えるし、
    反対に、個我から見れば、心理が見えるわけ?
メグミ そうだよ、真理を捉えると、真我に捕われて、
    反対に、心理を捕えると、個我に囚われるよ。
サトミ 自ずから、相応しいものを、外に見てしまう。
    つまり、何を見ていても、我を見ているのね。
メグミ こうして、突き詰めるほど、真の理になるの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 梵 という 我

 

マナミ わたしは、真我に覚めて、真理を悟ったの。
サトシ 自分も、真理を悟りたいな、真理を教えてよ。
マナミ それなら、現実を見とめ、自身を見つめて。
サトシ そんなのは、遠回りだから、結論を教えてよ。
マナミ それでは、真理を知るだけで、悟れないの。
サトシ う~ん、良く解からないよ、どういうこと?
マナミ 真理とは、真我から見た、世界の見え方なの。
    つまり、真我を覚らないと、真理を悟れない。
サトシ じゃ、真理を教わっても、真我を覚らないと、
    自我の、心理に歪められて、真理を悟れない?
マナミ うん、内の世界と外の世界は、現実で繋がる。
    だから、我が覚めなければ、梵を悟れないの。
サトシ 繰り返し、真理を修めながら、自我を見つめ、
    現実の中で、心理の歪みを、正すしかないの?
マナミ 内なる宇宙と、外なる宇宙は、現在で交わる。
    だからこそ、現在に集中し、悟るしかないの。
サトシ なるほど、教わったから、悟れる訳じゃない。
    梵を修めて、我を直すしか、道は無いんだね。
マナミ そうなの、こうして少しずつ、歪みを正すの。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 梵 と 闇 と 我

 

マナミ ねぇ、アビドヤー、闇は、どういうものなの?
マサシ 無明は、根本の煩悩となる、無智のことだよ。
マナミ はじめに、無明に被われたら、どうなったの?
マサシ 見るものと、見られるもの、二つに別れたよ。
マナミ じゃ、ブラフマン、梵は、どういうものなの?
マサシ 梵とは、見られるもの、外に顕われるものさ。
マナミ 更に、無明に覆われたら、どうなるのかな?
マサシ 真理を、隠してしまい、別々の心理に変わる。
マナミ じゃ、アートマン、我は、どういうものなの?
マサシ 我とは、見ているもの、内に現われるものさ。
マナミ 更に、無明に覆われたら、どうなるのかな?
マサシ 真我を、隔してしまい、個々の自我に換わる。
マナミ 即ち、闇を被ったら、枝葉に進んでいくし、
    反対に、闇を払ったら、根幹に戻っていくの?
マサシ うん、枝葉の世には、末節の梵と我があり、
    反対に、大所の界には、高所の我と梵がある。
マナミ なるほど、見たいように、見ているものは、
    絶対に、見られるものしか、見えてないのね。
マサシ 誰だって、闇が消えると、その真理に達する。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 我のない梵 と 梵のない我

 

サトミ 梵と我、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 外なる仕組み、梵って、どういうものかな?
メグミ 梵とは、全体を支配する、大きな原理なのよ。
サトミ 内なる仕組み、我って、どういうものかな?
メグミ 我とは、個体を支配する、小さな原理なのよ。
サトミ 梵を重んじて、我を軽んじると、どうなるの?
メグミ 我のない梵なんて、真理を解するだけなのよ。
サトミ じゃ、全を治めようと、個を修めないのかな?
メグミ そうよ、内に深めないと、空に消えるだけよ。
サトミ 我を重んじて、梵を軽んじると、どうなるの?
メグミ 梵のない我なんて、真我を介するだけなのよ。
サトミ じゃ、個を修めようと、全を治めないのかな?
メグミ そうよ、外に広げないと、空に止まるだけよ。
サトミ 梵だけでは、外に広げても、我を介せない。
    我ばかりでは、内に深めても、理を解せない。
メグミ そうよ、梵と我、そのどちらも、必要なのよ。
サトミ じゃ、我を介しながら、梵を解していくの?
メグミ うふっ、梵を究めながら、我を極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 梵 我 一 如

 

サトシ あのね、梵我一如って、どういうことかな?
マサシ 梵と我が、同じものだと、見とめることだよ。
サトシ 見られるもの、梵って、どういうものかな?
マサシ 梵とは、客体を司る、低次の意味のことだよ。
サトシ 見ているもの、我って、どういうものかな?
マサシ 我とは、主体を司る、高次の意識のことだよ。
サトシ じゃ、梵は見られても、我は見られないの?
マサシ そうさ、見た瞬間に、我は梵に為ってしまう。
サトシ もう少し、そのことを、説明して欲しいな。
マサシ 例えば、自分を〇〇〇と、表現してしまうと、
    〇〇〇は、客体を表し、主体を現していない。
サトシ つまり、低次の意味なら、表現できるけど、
    見ている、高次の意識って、表現できないの?
マサシ そうさ、〇〇〇であると、表現できないから、
    否定的に、×××でないと、表現するわけさ。
サトシ 自分は、×××でないと、否定を繰り返して、
    最終的に、残ったものこそ、真の我なわけか。
マサシ 全てをして、表わせなかった、真の我こそが、
    総べてを、現わしてしまう、真の理なんだよ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE ア ー ト マ ン

 

サトシ あのね、アートマンは、どういうものかな?
マサシ それはね、小宇宙である、我の原理のことさ。
サトシ 僕らは、内なる仕組を、全て見とめているの?
マサシ いや、無明の闇に覆われ、凡そ認めてないよ。
サトシ じゃあ、我を明らめるには、どうするのかな?
マサシ ひたすら、内に突き詰め、意識を深めるのさ。
    すると、抑え続けた意識が、掘り起こされる。
サトシ 闇を払い、意識が深くなると、どうなるの?
マサシ 自我と他我、その壁が壊れ、真我が現れるよ。
サトシ 他我と自我が、どうして、一緒になるのかな?
マサシ 条件次第で、自我と他我は、入れ替わると、
    自の中に他を、他の中に自を、認めるからさ。
サトシ 自我の中に、他我が在るなんて、本当かな。
    どう考えても、そんなことは、認められない。
マサシ 内に臨んで、行き詰ったら、外に望めば良い。
    外の中に内を、内の中に外を、認めるからね。
サトシ いや、僕は、そんなことは、認められないよ。
    今まで、僕は、そんなことが、無かったもん。
マサシ いや、君は、内に無いから、外に望んでいる。
サトシ ……………………

 


 

CASE ブ ラ フ マ ン

 

サトシ あのね、ブラフマンは、どういうものかな?
マサシ それはね、大宇宙である、梵の原理のことさ。
サトシ 僕らは、外なる仕組を、全て見とめているの?
マサシ いや、無明の闇に覆われ、凡そ認めてないよ。
サトシ じゃあ、梵を明らめるには、どうするのかな?
マサシ ひたすら、外を受け容れ、意味を確めるのさ。
    すると、抜け落ちた意味が、埋め立てられる。
サトシ 闇を払い、意味が広くなると、どうなるの?
マサシ 合理と非理、その境が薄れ、真理が現れるよ。
サトシ 非理と合理が、どうして、一緒になるのかな?
マサシ 条件次第で、非理と合理は、入れ替わると、
    合の中に非を、非の中に合を、認めるからさ。
サトシ 合理の中に、非理が在るなんて、本当かな。
    どう考えても、そんなことは、認められない。
マサシ 外に望んで、行き詰ったら、内に臨めばいい。
    内の中に外を、外の中に内を、認めるからね。
サトシ いや、僕は、そんなことは、認められないよ。
    今まで、君は、ろくなことを、言わなかった。
マサシ うん、僕は、放って置いて、君が確めるのさ。
サトシ ……………………

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