第六章 第八話 問答編
マサシ 思惟(シイ)とは、どういうものですか?
アキラ 思惟は、考えることで、解脱すること。
梵語では、ジュニヤーナ・ヨーガである。
内に臨んで考えると、内の業が現れて来て、
正しく因を求めるとき、真の我が見えて来る。
マサシ 行為(コウイ)は、どういうものですか?
アキラ 行為は、行じることで、解脱すること。
梵語では、カルマ・ヨーガと呼んでいる。
外に臨んで行なうと、外の業が現れて来て、
正しく縁を求めるとき、真の理が見えて来る。
マサシ 六派哲学とは、どういうものですか?
アキラ 六派哲学は、ヴェーダを重んじる学派。
梵語では、シャッド・ダルシャナである。
ヴェーダを認める派は、正統派と呼ばれて、
ヴェーダを認めない派は、異端派と呼ばれる。
第一に、心身を修めて解脱する、ヨーガ学派。
第二に、論理を重んじている、ニヤーヤ学派。
第三に、二元論が説かれる、サーンキャ学派。
第四に、一元論を修める、ヴェーダンタ学派。
第五に、祭祀を解する、ミーマーンサー学派。
第六に、自然哲学の、ヴァイシェーシカ学派。
マサシ 人間五蔵説とは、どういうものですか?
アキラ 人は、五つの層から出来ているとする。
梵語で、パンチャ・コーシャと呼ばれる。
外の層になるほど、構成要素は粗雑になり、
内なる層になるほど、構成要素は微細になる。
最外層は、肉体を作っている、食物鞘である。
第二層は、生気を作っている、生気鞘である。
第三層は、感情を作っている、意思鞘である。
第四層は、理性を作っている、理知鞘である。
最内層は、真我を包んでいる、歓喜鞘である。
マサシ 食物鞘(ショクモツザヤ)は、何ですか?
アキラ 食物鞘は、肉体を作っている層のこと。
梵語で、アンナマヤ・コーシャ、である。
食事を制御すると、食物鞘は健やかになり、
アーサナを行じると、体の働きが整えられる。
マサシ 生気鞘(セイキザヤ)は、どんなものですか?
アキラ 生気鞘は、生気を作っている層のこと。
梵語で、プラーナマヤ・コーシャである。
気を制御するほど、生気鞘は健やかになり、
呼吸法を行じるとき、チャクラが整えられる。
マサシ 意思鞘(イシザヤ)は、どういうものですか?
アキラ 意思鞘は、感情を作っている層である。
梵語で、マノマヤ・コーシャと呼ばれる。
感情を制御すると、意思鞘は健やかになり、
瞑想法を行じるとき、心の働きが整えられる。
マサシ 理知鞘(リチザヤ)は、どういうものですか?
アキラ 理知鞘は、理性を作っている層である。
梵語で、ヴィジュナーナマヤ・コーシャ。
思考を制御すると、理知鞘は健やかになり、
サマディを行じると、智の働きが整えられる。
マサシ 歓喜鞘(カンキザヤ)は、どんなものですか?
アキラ 歓喜鞘は、真我を包んでいる層である。
梵語、アーナンダマヤ・コーシャである。
覚醒を制御すると、歓喜鞘は健やかになり、
解脱に達するときに、歓喜が内に湧き上がる。
オカヤ 余りにも、正論過ぎて、辛くなります。
マコト そう想えるのは、智慧がある証であり、
思索で真理を悟る、条件が整っています。
この先も、繰り返し、辛くなるでしょうが、
逃げなければ、深淵を、思索で渡り切れます。
オカヤ この場合、逃げるとは、どういうことですか?
マコト 最も悪い逃げ方は、聖霊の冒涜に当る、
正論だが、実感が無いと、逃げる方です。
これを、幾度も繰り返して、聖霊を汚すと、
言葉では、永遠に救われない、闇に嵌ります。