ＣＡＳＥ　放棄　の裏に　放擲

マナミ　サンニャーサ、放棄って、どういうものなの？
マサシ　放棄とは、行為することを、放棄することさ。
マナミ　つまり、囚われないため、行わないことなの？
マサシ　そうだよ、全てを捨て去る、出家の道なのさ。
マナミ　出離すると、どのように、カルマが表れるの？
マサシ　内的経験、自己の念の中に、湧き上がるのさ。
マナミ　世間を離れ、瞑想する場合は、どうなるの？
マサシ　実感が弱くて、易しいけど、分りにくいのさ。
マナミ　ティヤーガ、放擲って、どういうものなの？
マサシ　放擲とは、放棄することを、行為することさ。
マナミ　つまり、行ったとしても、囚われないこと？
マサシ　そうだよ、総てを演じ切る、行為の道なのさ。
マナミ　行動すると、どのように、カルマが現れるの？
マサシ　外的体験、自他の縁の中に、沸き上がるのさ。
マナミ　世間に塗れ、活動する場合は、どうなるの？
マサシ　実感が強くて、厳しいけど、解りやすいのさ。
マナミ　つまり、瞑想中にしても、活動中にしても、
　　　　結果に囚われなければ、カルマを越えるのね。
マサシ　これが、瞑想でも、対話でも、その通りだよ。
マナミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　放棄　の先に　放擲

サトミ　行を棄てる、放棄って、どういうものかな？
メグミ　放棄とは、行為しないで、執着しないことよ。
サトミ　取を捨てる、放擲って、どういうものかな？
メグミ　放擲とは、行為をしても、執着しないことよ。
サトミ　う～ん、良く解らない、どういうことなの？
メグミ　因が有り、行為をすると、どうなると思う？
サトミ　果が生まれ、直視するから、囚われ易くなる。
メグミ　因が有り、行為しないと、どうなると想う？
サトミ　果が生じず、無視するから、囚われ難くなる。
メグミ　うん、だから、行為せず、離れていた方が、
　　　　判断しないで済むから、執着しないで済むの。
サトミ　そっか、厭い離れた方が、捕われない訳ね。
　　　　でも、行為しない限り、原因が残ったままね。
メグミ　そうよ、結果にしないと、原因は消えないの。
サトミ　少しずつ、行為により、因果を超えるわけか。
メグミ　放棄の段は、抑え込んで、業を越えていき、
　　　　放擲の階では、掘り起して、業を超えるのよ。
サトミ　こんな話、聞かなければ、気づかなかったよ。
メグミ　うふっ、積極的に行為して、良かったでしょ。
サトミ　……………………！！

ＣＡＳＥ　放棄　という　放擲

サトシ　行なわない、放棄って、どういうものかな？
アツシ　放棄とは、無視を持って、捉らえないことだ。
サトシ　無視すると、識別しないで、善悪が生じない？
アツシ　善が無いから、欲が産まれず、捕えなくなる。
サトシ　たとえ、捉えないでいても、直視したときに、
　　　　無意識に、隠されていた因が、現れてくるの？
アツシ　そうだ、行為を放棄しても、因は隠れている。
サトシ　囚われない、放擲って、どういうものかな？
アツシ　放擲とは、直視を以って、捕われないことだ。
サトシ　直視すると、識別するから、善悪が生じるの？
アツシ　善が有るから、欲が産まれて、囚われていく。
サトシ　たとえ、囚われたとしても、直視していれば、
　　　　最終的に、捕われていた因が、見えてくるの？
アツシ　そうだ、行為に執着すると、苦が現れてくる。
サトシ　じゃ、行為をすることで、苦が生じるけど、
　　　　そこに、原因が隠れている、って、ことなの？
アツシ　ああ、苦の結果を通して、気づくしかないな。
サトシ　う～ん、隠し続ければ、良いんじゃないかな？
アツシ　まあ、その不安感と、永遠に付き合えるなら。
サトシ　……………………

ＣＡＳＥ　放擲なき放棄　と　放棄なき放擲

サトミ　放棄と放擲、どちらを、重んじるべきかな？
メグミ　どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ　行を離れる、放棄って、どういうものかな？
メグミ　放棄とは、外に現われた、業を離れるものよ。
サトミ　行を越える、放擲って、どういうものかな？
メグミ　放擲とは、内に隠された、業を越えるものよ。
サトミ　放棄を望み、放擲に臨まないと、どうなるの？
メグミ　放擲なき放棄なんて、唯の逃避に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、越えるべきから、逃れていくだけなの？
メグミ　そうよ、隠されてしまい、離れられなくなる。
サトミ　放擲を望み、放棄に臨まないと、どうなるの？
メグミ　放棄なき放擲なんて、只の放縦に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、離れるべきから、近づいてしまうの？
メグミ　そうよ、捕われてしまい、越えられなくなる。
サトミ　放棄だけでは、捨てようと、棄てられない。
　　　　放擲ばかりでは、越えようと、超えられない。
メグミ　うん、放棄と放擲、その両方が、必要なのよ。
サトミ　じゃあ、放棄を透して、放擲を徹していくの？
メグミ　うん、放棄を究めて、放擲を極めていくのよ。
サトミ　……………………！！