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物語編

第六章 第十三話 対話編

CASE 暗性 の裏に 動性

 

マナミ ねぇ、チッタ、心滴って、どういうものなの?
マサシ 心とは、善性を用いて、感じているものだよ。
マナミ 心は、気と共に動き、因と果を感じているの?
マサシ そうさ、因と果の上に、気と心が流れるのさ。
マナミ この条件では、善性って、どういうものなの?
マサシ 善性とは、蓄積を司る、貪を感じる性質だよ。
マナミ この条件では、暗性って、どういうものなの?
マサシ 暗性とは、循環を司る、痴を感じる性質だよ。
マナミ この条件では、動性って、どういうものなの?
マサシ 動性とは、変化を司る、瞋を感じる性質だよ。
マナミ 心に於いて、善性が強くなると、どうなるの?
マサシ 少しずつ、良くを感じるから、心が前に向く。
マナミ 心に於いて、暗性が強くなると、どうなるの?
マサシ 少しずつ、慣れを感じるから、心が沈み込む。
マナミ 心に於いて、動性が強くなると、どうなるの?
マサシ 少しずつ、焦りを感じるから、心が浮き立つ。
マナミ つまり、善性とは、心で感じるものだけど、
    暗性が強いと沈んで、動性が強いと焦れるの?
マサシ そうさ、こうして、因果を感じていけるのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 暗性 の先に 動性

 

サトミ 飽くなる性、暗性って、どういうものかな?
メグミ 暗性とは、善性で切ると、同を感じるものよ。
サトミ 厭くなる性、動性って、どういうものかな?
メグミ 動性とは、善性で切ると、異を感じるものよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
メグミ そもそも、善性とは、自然を司るものなの。
    この世界を、自然で切ると、どうなると思う?
サトミ 慣れ感じるか、妙に感じるか、そう見えるよ。
メグミ 動性と比べ、暗性が優ると、どうなると思う?
サトミ 世の中を、より同じ様に、感じると想うよ。
メグミ 暗性と較べ、動性が勝ると、どうなると思う?
サトミ 世の中を、より違う様に、感じると想うよ。
メグミ 暗性の段は、感じ方が、同じ方に向かうし、
    動性の階では、感じ方が、違う方に向かうの。
サトミ つまり、善性を、無意識に、隠していると、
    意識的に、暗性と動性が、現れてくるわけね。
メグミ そうよ、暗性と動性の妙を、感じ続けている。
サトミ うん、違和を感じたけど、自然に感じるよ。
メグミ うふっ、もう、不自然には、感じないでよね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE ビ ン ド ゥ

 

サトシ あのね、ビンドゥって、どういうものかな?
マサシ それはね、体に宿っている、心のことなのさ。
サトシ 体の中には、様々な管が、通されているし、
    その管の中を、色々な気が、流されているの?
マサシ その通りさ、その気には、心が乗っていて、
    管の中を、気が動くときに、心が動いている。
サトシ 管が通って、気が流れるほど、どうなるの?
マサシ 気が晴れると、心が軽くなって、嬉しくなる。
サトシ 晴れ切って、完全に通ったら、どうなるの?
マサシ 体全体が、歓喜に包まれて、忘我に至るのさ。
サトシ 管が詰まり、気が流れないと、どうなるの?
マサシ 気が塞ぐから、心が重くなって、悲しくなる。
サトシ 塞ぎ切って、完全に滞ったら、どうなるの?
マサシ 体全体が、虚無に包まれて、無我に至るのさ。
サトシ 感動すると、我を越える方に、心が蘇るし、
    感動しないと、我が壊れる方に、心を失うの?
マサシ 偏らないと、歓喜しかない、神の心になるよ。
サトシ 苦楽で偏った、その結果こそ、我が心なのか。
マサシ 嬉しい時は、総てを認める、こういう事だよ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 動性なき暗性 と 暗性なき動性

 

サトミ 暗性と動性、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 飽くなる性、暗性って、どういうものかな?
メグミ 暗性とは、善性を介すと、同じと解すものよ。
サトミ 厭くなる性、動性って、どういうものかな?
メグミ 動性とは、善性を介すと、違うと解すものよ。
サトミ 暗性を望み、動性に臨まないと、どうなるの?
メグミ 動性なき暗性なんて、唯の愚痴に過ぎないよ。
サトミ じゃ、敵になると思わず、友に捕われるの?
メグミ そうよ、友のままと想って、痴に囚われるよ。
サトミ 動性を望み、暗性に臨まないと、どうなるの?
メグミ 暗性なき動性なんて、只の瞋恚に過ぎないよ。
サトミ じゃ、友になると思わず、差に捕われるの?
メグミ そうよ、敵であると想って、瞋に囚われるよ。
サトミ 暗性だけでは、憎を認めない、痴を抱くし、
    動性ばかりでは、愛を認めない、瞋を擁くの?
メグミ うん、暗性や動性、そのどちらも、必要なの。
サトミ じゃあ、暗性を究めて、動性を極めていくの?
メグミ うん、暗性を超えて、動性を越えていくのよ。
サトミ ……………………!!

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