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物語編

第六章 第十三話 問答編

マサシ 心(シン)は、どういうものですか?

 

アキラ 心とは、気と共に、動いて感じるもの。
    梵語では、チッタと、呼ばれているもの。
    心とは、歓喜鞘であり、記憶や忘却を司る。
    その他に、覚と我と意の、三つの働きがある。

 

マサシ 覚(カク)は、どういうものですか?

 

アキラ 覚とは、理性を生む、心の働きである。
    梵語では、ブッディと呼ばれているもの。
    覚とは、理智鞘であり、分別や判断を司る。
    馬車に喩えると、手綱を握る御者に相当する。

 

マサシ 我(ガ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 我とは、器が生じる、心の働きである。
    梵語では、アハンカーラと呼ばれるもの。
    我とは、歓喜鞘であり、自分らしさを司る。
    馬車に喩えると、客室を彩る装飾に相当する。

 

マサシ 意(イ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 意とは、感性を生む、心の働きである。
    梵語では、マナスとも呼ばれているもの。
    意とは、意思鞘であり、感情や感覚を司る。
    馬車に喩えると、馬に着ける手綱に相当する。

 

 

 

マサシ 人間馬車説とは、どういうものですか?

 

アキラ 車主は、真我であり、アートマンを表すもの。
    車両は、身体であり、シャリーラを表すもの。
    客室は、自我であり、アハンカーラを表わす。
    装飾は、記憶であり、チッタを表わしている。
    車輪が、生気であり、プラーナを表している。
    御者は、理性であり、ブッディを表している。
    手綱は、感情であり、マナスを表わしている。
    馬とは、器官であり、インドリアを表すもの。

 

マサシ 人間五蔵説とは、どういうものですか?

 

アキラ 人は、五つの層から出来ているとする。
    梵語で、パンチャ・コーシャと呼ばれる。
    外の層になるほど、構成要素は粗雑になり、
    内なる層になるほど、構成要素は微細になる。

 

    最外層は、肉体を作っている、食物鞘である。
    第二層は、生気を作っている、生気鞘である。
    第三層は、感情を作っている、意思鞘である。
    第四層は、理性を作っている、理知鞘である。
    最内層は、真我を包んでいる、歓喜鞘である。

 

マサシ 食物鞘(ショクモツザヤ)は、何ですか?

 

アキラ 食物鞘は、肉体を作っている層のこと。
    梵語で、アンナマヤ・コーシャ、である。
    食事を制御すると、食物鞘は健やかになり、
    アーサナを行じると、体の働きが整えられる。

 

マサシ 生気鞘(セイキザヤ)は、どんなものですか?

 

アキラ 生気鞘は、生気を作っている層のこと。
    梵語で、プラーナマヤ・コーシャである。
    気を制御するほど、生気鞘は健やかになり、
    呼吸法を行じるとき、チャクラが整えられる。

 

マサシ 意思鞘(イシザヤ)は、どういうものですか?

 

アキラ 意思鞘は、感情を作っている層である。
    梵語で、マノマヤ・コーシャと呼ばれる。
    感情を制御すると、意思鞘は健やかになり、
    瞑想法を行じるとき、心の働きが整えられる。

 

マサシ 理知鞘(リチザヤ)は、どういうものですか?

 

アキラ 理知鞘は、理性を作っている層である。
    梵語で、ヴィジュナーナマヤ・コーシャ。
    思考を制御すると、理知鞘は健やかになり、
    サマディを行じると、智の働きが整えられる。

 

マサシ 歓喜鞘(カンキザヤ)は、どんなものですか?

 

アキラ 歓喜鞘は、真我を包んでいる層である。
    梵語、アーナンダマヤ・コーシャである。
    覚醒を制御すると、歓喜鞘は健やかになり、
    解脱に達するときに、歓喜が内に湧き上がる。

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