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物語編

第六章 第十四話 問答編

マサシ 寂滅の道は、どういうものですか?

 

アキラ 寂滅の道は、否定を重んじる道のこと。
    梵語で、ニヴリッティ・マールガである。
    この道は、縦糸(スートラ)を経典として、
    余分なことは否定して、意識を清らかにする。

 

マサシ 増進の道は、どういうものですか?

 

アキラ 増進の道は、肯定を重んじる道のこと。
    梵語、プラヴリッティ・マールガである。
    この道は、横糸(タントラ)を経典として、
    あらゆることを肯定して、意識を広げていく。

 

マサシ 左道(サドウ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 左道とは、快楽を肯定する、左管の道。
    梵語で、ヴァーマ・マルガと、呼ばれる。
    楽行と性愛により、カーマ・ヨーガを行い、
    禁忌を敢えて犯して、自由を求めようとする。

 

マサシ 右道(ウドウ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 右道とは、苦痛を肯定する、右管の道。
    梵語で、ダクシュナ・マルガと呼ばれる。
    苦行と禁欲により、クンダリニーを覚醒し、
    チャクラを開発して、身体を越えようとする。

 

マサシ 中道(チュウドウ)は、どういうものですか?

 

アキラ 中道とは、苦楽を肯定する、中央の道。
    梵語で、マディヤマー・マルガと、呼ぶ。
    快楽が究められるとき、苦痛に極められる。
    両極を究めると、最終的に、中道に辿り着く。

 

マサシ 釈迦牟尼の道とは、どういうものですか?

 

アキラ 確かに、釈尊は、左道や右道を否定し、
    中道でしか悟れないと、説き明かしたが、
    釈迦牟尼は、最初に、左道も右道も修めて、
    その上で、中道を修めて、悟りを開いている。

 

    王子の時代に、快楽を究める、左道を進んで、
    苦行の時代に、苦痛を極める、右道を進んで、
    仏陀の時代に、出離を修める、中道を進んだ。

 

マサシ どうして、中道以外は、悟れないのですか?

 

アキラ 左管のイダー管は、尾骨から左鼻まで。
    右管のピンガラ管は、尾骨から右鼻まで。
    中央のスシュムナーは、尾骨から頭頂まで。
    頭頂まで達するのは、中央だけだからである。

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