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物語編

第六章 第十六話 物語編

第六章    性力   と   知力
第十六話 生きる性の力 と 活きた生の力

 

一方、私は、冷静な奴だと、皆に思われていた。
とかく、目立つ彼とは異なり、表に出ることなく、
仲間とも、一線を引いた処から、物事を眺めていた。

 

とはいえ、付き合いが、決して悪い訳ではなく、
誰にも、臆することなく、平等に付き合っていた。
それゆえ、特に好かれたり、嫌われたりしなかった。

 

ただ、優等生の集団には、些か煙たがれていた。
彼らは、阿られることには、慣れている人達だが、
私が、決して媚びないことが、気に障ったのだろう。

 

一方、劣等生の仲間には、少し親しまれていた。
彼らは、貶められることに、馴れている人種だが、
私が、断じて蔑まないことが、気に入ったのだろう。

 

欲を持つ者が、無意識に築き上げる階級社会で、
上から下に至るまで、私は自在に行き来していた。
人目は惹かなかったが、気に掛かる存在だと言えた。

 

誰にも暖かく接するが、誰のことも覚めて見る。
そんな平静な私のことを、格好が良いと見つめる、
娘たちも居たが、私と似て、一線を引いて見ていた。

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