物語編
第六章 第十八話 物語編
第六章 自愛 と 自滅
第十八話 我を善く見る と 我を悪く見る
幼馴染にして、守護者である、彼女の名は真理。
彼女は、近くで見れば、畏れるほど美しかったが、
遠目には、背景に溶け込んで、全く目立たなかった。
ときどき、彼女の美しさに、気づいた男たちが、
恋心を抱き、彼女に近づいて、甘えようとしても、
彼女の強さに、恋が覚めてしまうのが、落ちだった。
決して、怖くもなければ、険しくもないのだが、
誰の思い通りにもならない、真実の強さがあった。
甘い夢を見ていたい者は、端から彼女に近づけない。
一方、苦しみ悶える人々に、彼女は優しかった。
もはや、神も仏もないと、如何なる幻想も抱けず、
真実を認めざる得ない者は、最後に彼女に辿り着く。
そんな者たちに、彼女は、優しく助言していた。
すると如何だろう、今まで、苦しんでいた者ほど、
その苦しみが活かされて、大人物に生まれ変わった。
私は、こんな彼女の一面に、強く惹かれていた。
たとえ、全てを投げ出しても、彼女を手伝えれば、
喜んで馳せ参じたい、自分には、彼女は女神だった。