物語編
第六章 第十九話 物語編
第六章 歓楽 と 哀愁
第十九話 快を善く見る と 快を悪く見る
この曖昧な三者の縁に、けじめを付けるために、
半端なことを嫌う法徳は、真理を呼び出していた。
今日こそは、どちらか一方、選んで貰う積りらしい。
『なぁ、智徳、小さい頃は、気楽で良かったな。
誰かを選んだり、誰かに択ばれる、要も無かった。
何も気にせず、目の前のことで、遊べれば良かった。』
「呆れたものだな、そんなこと、今さら言うか。
遊び仲間の三人から、遊びを奪ったのは、お前だ。
もう、昔のような、気楽な関係に戻れると、思うな。」
『まぁ、そうだ、これは、俺が仕掛けたことだ。
俺を、引くに引けない処に、追い込んだのは俺だ。
お前は、巻き込まれただけだ、いや、済まなかった。』
「いや、引き摺り込んでくれ、感謝しているよ。
いつかは、乗り越えないと、為らない事だからな。
たとえ、諦める事になろうと、明らめた後にしたい。」
「それに、たとえ、おまえが選ばれたとしても、
自分が、択ばれたときと、同じくらい喜べそうだ。
もし、二人とも振られたら、二人で旅にでも行くか。」