物語編
第六章 第二三話 物語編
第六章 欲 と 慢
第二三話 欲を善く見る と 欲を悪く見る
いつも、自分のためには、感情を表に出さない、
乱れたことのない真理の顔が、涙に覆われていた。
それだけで十分に伝わる想いに、彼女の声が加わる。
[好きとか、恋しいとか、そんな次元じゃなく、
わたしは、あなたの近くに、生まれて来たかった。
如何してか、解らないけれど、とにかく必死だった。]
[わたし、神様に、何度も何度も、お願いした。
でもね、運命は残酷、場が近ければ、年が離れて、
年が近ければ、場が離れて、いつも擦れ違いだった。]
[わたしは、死ぬことなんて、怖くはなかった。
あなた以外に、囚われるものは、何もなかったし、
生まれ変われば、あなたの近くに、行けるかなって。]
[わたし、あなたが、神様のお手伝いのために、
いつも、生まれ変わっていることは、知ってたの。
だからね、私もそうすれば、近くに行けると考えた。]
[うん、不純な動機だって、良く解かっていた。
そんなの、神様が許してくれる、はずがないとも。
だからこそ、擦れ違いが多かった、そうだと思った。]
[あなたは、忘れてしまう、かもしれないけど、
わたしは、これまでの道、全て覚えさせられるの。
辛いことも、苦しいことも、悲しいことも、すべて。]