第六章 第二一話 対話編
CASE 厚情 の裏に 薄情
マナミ 胸腺の車輪、人間界は、どういうものなの?
マサシ 人間界は、欲界の第三層、愛情の世界なのさ。
マナミ 情の良い所、厚情って、どういうものなの?
マサシ 厚情とは、情けが厚くて、情で楽しむことさ。
マナミ 情を使って、懇意を望んで、自ずと楽しむの?
マサシ 情が返る、情の喜び故に、突き進んで行くよ。
マナミ じゃあ、愛情を楽しむほど、情に捕われるの?
マサシ そうだよ、情を望むから、人間に臨んでいく。
マナミ 情の悪い処、薄情って、どういうものなの?
マサシ 薄情とは、情けが薄くて、情で苦しむことさ。
マナミ 情に疲れて、翻意に臨んで、自ずと苦しむの?
マサシ 情が翻る、情の憂い故に、引き返して来るよ。
マナミ じゃあ、愛情に苦しむほど、情に囚われない?
マサシ そうだよ、情に厭くから、人間が空いてくる。
マナミ つまり、愛情で楽しんだ分、愛情で苦しめば、
自ずから、人間の世界を、乗り越えられるの?
マサシ そうさ、人間界の仕組みを、解き終えるのさ。
マナミ それでも、特別な相手を、私は愛したいの。
マサシ そんなこと、言っていると、まだまだ先かな。
マナミ ……………………
CASE 厚情 の先に 薄情
サトミ 情けが厚い、厚情って、どういうものかな?
メグミ 厚情とは、愛情を持って、先に楽しむことよ。
サトミ 先に於いて、情を楽しむと、どうなるのかな?
メグミ 情の喜び故に、我が強くなり、多く望むのよ。
サトミ 更に多くの、情を求めると、どうなるのかな?
メグミ 前よりも、楽しみ難くて、苦しみが増えるの。
サトミ 情けが薄い、薄情って、どういうものかな?
メグミ 薄情とは、愛情を以って、後で苦しむことよ。
サトミ 後に於いて、情に苦しむと、どうなるのかな?
メグミ 情の憂い故に、我が弱くなり、寡く望むのよ。
サトミ 更に少ない、情を求めると、どうなるのかな?
メグミ 前よりも、苦しみ難くて、楽しみが殖えるの。
サトミ つまり、我が楽しめるなら、望みが増えて、
殖えすぎ、我を苦しめるなら、望みが減るの?
メグミ そうよ、器に収まるまでは、楽しめるけど、
多すぎて、器を溢れてくると、苦しめられる。
サトミ なるほどね、情に囚われて、情を望むかぎり、
厚情と薄情を、繰り返し、行き来するわけね。
メグミ 掛けるほど、欠けてしまう、情の仕組みなの。
サトミ ……………………!!
CASE 胸 腺 チ ャ ク ラ
サトシ 胸腺に在る、チャクラは、どういうものかな?
マサシ 共感を介して、情を解する、二元の世界だよ。
サトシ 情に関して、善悪を分けると、どうなるの?
マサシ 厚情と薄情を、繰り返している、人間界だよ。
サトシ 情を善いと、捉えて行くほど、どうなるの?
マサシ 少しずつ、厚情の道を進み、情を好いて行く。
サトシ 情を悪いと、捕えて来るほど、どうなるの?
マサシ 少しずつ、薄情の道を戻り、情を嫌って来る。
サトシ 善や悪には、情を認めないと、どうなるの?
マサシ もう一度って、厚情の道を、進んで逝くのさ。
サトシ 善も悪にも、情を見とめると、どうなるの?
マサシ もう十分って、博愛の道に、昇って行くのさ。
サトシ 人間界では、愛情を注ぐ、繰り返しだけど、
肯い過ぎても、否み過ぎても、捕らわれるの?
マサシ うん、どちらに、偏り過ぎても、囚われるよ。
サトシ 情って、軽んじても、捕われてしまうんだね。
マサシ 必ず、憎悪に向うけど、愛情を重んじるのさ。
サトシ そっか、情に関して、巧い使い方が有るのか。
マサシ うん、それを悟るまで、人間に生れ変わるよ。
サトシ ……………………!!
CASE 薄情なき厚情 と 厚情なき薄情
サトミ 厚情と薄情、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 人間の入口、厚情って、どういうものかな?
メグミ 厚情とは、情に捕われて、情を掛けることよ。
サトミ 人間の出口、薄情って、どういうものかな?
メグミ 薄情とは、情に囚われて、情に欠けることよ。
サトミ 厚情を望み、薄情に臨まないと、どうなるの?
メグミ 薄情なき厚情なんて、人間の器に余るだけよ。
サトミ じゃ、掛けるだけでは、器を溢れてしまうの?
メグミ そうよ、苦しみが過ぎて、出口から逃げるよ。
サトミ 薄情を望み、厚情に臨まないと、どうなるの?
メグミ 厚情なき薄情なんて、人間の器に欠けるのよ。
サトミ じゃ、欠けるだけでは、器に至っていないの?
メグミ そうよ、楽しみが足りず、入口にも立てない。
サトミ 厚情だけでは、情を楽しみ、人間に入って、
薄情ばかりでは、情に苦しみ、人間を出るの?
メグミ うん、厚情と薄情、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、厚情を究めて、薄情を極めていくの?
メグミ うん、厚情を超えて、薄情を越えていくのよ。
サトミ ……………………!!