物語編
第六章 第二六話 問答編
マサシ 衆生(シュジョウ)は、どういうものですか?
アキラ 衆生は、己を利する、善を求めるもの。
梵語では、サットヴァと呼んでいるもの。
衆生は、煩悩こそが、善い物に見えている。
それゆえ、煩悩を望み、徳を欲に変えている。
マサシ 菩薩(ボサツ)とは、どういうものですか?
アキラ 菩薩は、他を利する、善を求めるもの。
梵語では、ボーディ・サットヴァである。
菩薩は、菩提こそが、善い物に見えている。
それゆえ、菩提に臨み、欲を徳に換えている。
マサシ 煩悩(ボンノウ)は、どういうものですか?
アキラ 煩悩は、思いのまま、偏って見ること。
梵語では、キレーサと、呼んでいるもの。
煩いの境地は、自と他が違えて見えるため、
独善に陥り、他を害して、己を利そうとする。
マサシ 菩提(ボダイ)とは、どういうものですか?
アキラ 菩提は、在りのまま、悟って見ること。
梵語では、ボーディと、呼んでいるもの。
悟りの境地は、自と他が等しく見えるため、
親善に働き、他を利して、己を利そうとする。