物語編
第六章 第二七話 物語編
第六章 欲界 と 色界
第二七話 己を利する界 と 他を利する界
三日三晩、泣き明かして、親友を弔っていたが、
四日目の朝、尋常ならざる、覚悟を持って居直り、
極めて冷静に、天に向かって、新たな契約を誓った。
『神よ、この結末は、予想を遥かに越えていた。
実際、どんな結果も受け容れると、言いましたが、
こうして、見事に言質にされるとは、当に神業です。』
『しかし、些か、神々に、甘過ぎはしませんか。
無智な天使に、思いのまま、良くを説かせるから、
勝手な善が、世の人に伝わり、狂う者が現われます。』
『その尻拭いは全て、我らが菩薩に課せられる。
美味い実は彼らに与え、不味い実は我らが食する。
そして、彼らは欲を重ね、我らは徳と智が磨かれる。』
『確かに、自らが選んだ道、不満は抱きません。
しかし、知恵を学ぶべき、人界の堕落を憂います。
我が配下、天使を信じ切り、人類は深淵を覗かない。』
『この地球を、知恵を学ぶ、箱庭と化したまえ。
善悪乱れる、宇宙の縮図とし、人類を鍛え抜かん。
勿論、最も苛酷な、悪の頭領は、私が負わせて頂く。』